菓子折義朝 〜カシオリヨシトモ〜
3月15日
久しぶりに事務所別館で行われている20歳以上限定のスポーツクラブに出席すると、僕より先に出席をしていた菓子折義朝さんが僕を見つけて声を掛けに来てくれた。
「プロデューサー、まだ何をするか決めていないのなら俺と卓球をしませんか? 今日はいつもより卓球台が空いているようなので長期戦でも大丈夫そうですし」
「じゃあ、卓球をやろうかな」
卓球経験は学生時代に体育の授業で数回と泊りがけでの温泉ロケに付き添った際に泊まる旅館に卓球台があればアイドルや番組のスタッフと娯楽として嗜む程度でしかないのだが、勝つ自信が無いわけではないので、勝負を受けた。
「7ゲームマッチ、4ゲーム先取で」
「受けて立つよ」
勝負が始まり、1ゲーム目は久しぶりの卓球という事もあって僕が前半にミスを何度か犯し、義朝さんが5点差をつけて勝利。2ゲーム目と3ゲーム目では僕が1ゲーム目でのミスを取り返し勝利。2対1となり僕が優勢となった。その頃には卓球をやっていた他の人たちが僕らの卓球台の周りに集まり試合を見守り始めていた。
6ゲーム目が終わりそれぞれ3勝3敗、最終ゲームで勝負が決まるとなった時には他のスポーツを楽しんでいた人たちも観戦にやって来ていた。
「プロデューサー」
「何?」
「この試合に負けた方は勝った方にスポーツドリンクを奢りで」
「いいよ」
僕は義朝さんの案に乗り、多くの観客が見守る中で、7ゲーム目を開始した。ここまでの6ゲームでお互いの動きを把握してきたこともあり点差は開くことなく点を取られたら取り返し、天を取ったら追いつかれを繰り返し気付いた時には11対12と義朝さんが1点リードをしてマッチポイントになった状態でかれこれ5分近くラリーが続いていた。
「たぁっ!」
ある卓球選手に似た掛け声でスマッシュを打ち勝負に出たのは義朝さんだった。僕もすかさず動いてスマッシュを打ち返しに行ったが、コンマ一秒間に合わず7ゲーム目を制したのは義朝さんだった。
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