轟沢創一 〜トドロキザワソウイチ〜
もう一年も前の話になる。
俺は去年の和水プロダクションのアイドル達が総出演するクリスマスライブを最前列で見ていた。
人生で初めての生ライブを体験した俺は目に映る度にステージの力強い衝撃で心振るわされていた。
しかし、和水プロダクションが俺に与えた衝撃はそれだけではなかった。
「すみません」
「はい?」
誰かに呼ばれたような気がして振り向くと、人の波の中にステージ上に出ていてもおかしくは無いのにもかかわらずステージ上には絶対に居なかったアイドルではないのがもったいない顔立ちをしたスーツの男性がいて、俺はその男性と目が合った。
その男性は人の波に飲まれることなく俺に近づいて来てこう言った。
「アイドルに興味はありませんか?」
「え?」
俺は何かの聞き間違いではないかと思い、頭をフル回転させて男性が本当に伝えたかった言葉が何であったのかを考えた。
「本日見たこのステージに立ってみませんか」
言い方を改められて言われたその言葉は聞き間違いなんかではなかった。
「1年振りだな。1年で見る側から出る側になれるものなんだな」
「いえ、これだけ早くこのステージに上がれるのは轟沢さんの実力があってこそです」
本当に嬉しい事を言ってくれる。
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