北見直人 〜キタミナオト〜
中々就職先が見つからず、アルバイトだけで生活を成り立たせていたある日の事。
「夜分遅くに申し訳ありません。北見直人さんでいらっしゃいますか?」
今日のアルバイトが終わり、家でビールを飲んでいる気分に浸りながら麦茶でも飲んでゆっくりしようと思っているとスーツを着た男性が俺にそう尋ねて来た。
「そうですけど」
そう答えると男性は俺にスッと小さな紙、俺が持つにはまだ早すぎる紙を差し出してきた。
「私、こういう者でして」
受け取ったその紙には少なくとも一年以上は日本で暮らしている人なら誰でも聞いた事があるだろう芸能事務所の名前があり、男性のものと思われる名前の横には『プロデューサー』の肩書があった。
「こんな大手のプロデューサーさんが俺に何かご用ですか?」
「北見さん、アイドルになって頂けませんか?」
「えっ? あ、えっと、俺、が?」
「はい」
受験でも就職活動でも就職に失敗した時でも頭が真っ白になるという経験はしていなかったが、この時ばかりは俺の頭は真っ白になった。
「なって頂けないでしょうか?」
「俺で、良いなら」
2016年11月某日、俺は和水プロダクションのアイドルとしての就職が決まった。
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