横浜蘭 〜ヨコハマラン〜

 プロデューサーと真鍋北莉が大事な話をしているらしい。それを聞いた私は即座に過去のユニットの話だと予想が付いた。


「結局、断ったの?」


「蘭さんには関係のない事です」


「ライバルの情報くらい知っておきたいじゃない」


「別に知ってもらいたくはないですし、私は一度だって蘭さんをライバルとして見たことはありません」


可愛げなくそう言う養成所時代の一期後輩の北莉に私は一切口調を変えずに言った。


「ユニット、良いわね。それにリーダーなんて余程信頼が無いと出来ないわよね。北莉が断ったならその話私に回してきてくれれば良いのに。私ならリーダーなんてチャチャっとこなしちゃうけど」


「……んな」


「何か言った?」


「そんな、軽い気持ちでリーダーは務まりません」


「北莉は今もちゃんと信念を持ってリーダーを務められるの?」


「……当然です」


「そう」


 表情には出さなかったが、内心ほっとした。北莉のリーダーとしての心はまだ枯れてはいなかった。


「じゃあ、私とユニットを組んでもらえないかしら? 私にリーダーは務まりそうにないから北莉がリーダーで」


「何度も言っていますが、私は」


「北莉はリーダーよ。たった一度の失敗で逃げているけれどリーダーとしての強い心は生きている。プロデューサーはそれを見抜いてユニットの話を持ってきたんでしょ?」


「でも」


「私のライバルはたった一度の失敗を乗り越えようともせずに諦める弱虫だったのね」


「蘭さん、何度も言いますが私と蘭さんはライバルではないです」


「ほう」


「養成所の先輩と後輩でもないです」


「それじゃあ、私たちの関係は何なの?」


「私たちは今から新しいユニットの仲間です」

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