雪山登 〜ユキヤマノボリ〜
誰が言ったか、多分アイドルアニメを見たと言っていたアンジェリーノちゃんが原因なのだと思うけれど、私は崖を登らされていた。
崖と言ってもサスペンスドラマの終盤に犯人が追いつめられるような所ではないが、仕事帰りに寄って行けるようなスポーツ感覚で楽しめる崖でもなく、私は名前通り山を登っていた。
「雪山さん、頂上はあと少しです。頑張りましょう」
私と一緒に崖を登ってくれているプロデューサーさんは崖登りの経験があるのか、疲れているような様子を全く見せず、それどころか登るのが遅い私を待っている間に他のアイドルのスケジュールを細かく決める余裕さえ見せていました。
「登頂おめでとうございます」
「あ、ありがとうございます。ちなみにこれって、何の仕事だったのでしょうか?」
「音尾さんがメインでやっているスポーツバラエティーのロケとなっています」
そう言えば少し前にアンジェリーノちゃんに
「ノボリ少しポッチャリしてきたネ。もしかしたらアヤミのテレビに出なきゃかもネ」
と笑いながら言っていた気がする。
「真上さんから話を聞いたのですが、食べ過ぎには気を付けて下さい。雪山さんは心配の必要はありませんが念のためにという事で」
その言葉で私の想像は確信に変わった。
「アンジェリーノ!!」
彼女の名前は雲海の中へ消えた。
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