雷同貴音 〜ライドウタカネ〜
アイドルなんて仕事をしたいなんて思った事は一度だってなかった。それなのに友達が遊び半分で応募した履歴書がオーディションの一次審査を楽々と通過し、二次、三次と合格してしまい気付いた時にはアイドルになっていた。
アイドルという職業が億劫だと思っていたわたしが今となっては……。
「わたし、なんでまだ学生なんてやってるんだろ~?」
「こらこら、君の本業は学生だろう? ほら、次は微生物学だ」
わたしはアイドル業界にたった一週間片足を突っ込んだだけで専門学生としての自分よりもアイドルとしての自分が楽しくなってしまっていた。
「菊池先生~ 少し休憩しようよ」
「わかった。区切りが良いから5分休憩しよう」
「10分、10分にして。1曲分踊りたいから」
「その手には乗らない」
「ケチ~」
つい最近まではわたしの学校のバイオテクノロジー学科基礎化学担当講師、今はアイドルの菊池拓也先生に小さな子供のようにそう言ってわたしは渋々5分の休憩時間に入った。
「学生やめた~い」
菊池先生の前で言うとまた優しくがみがみと怒られそうなので少し離れたところで呟くとアイドルとは思えないほどラフな格好をした少女がすれ違いざまに
「わかる」
と、同意してくれた。
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