流浪三保 〜ルロウミホ〜
「何故私がこんな事を」
土曜夜のプロジェクトルームではその部屋を取り仕切る川野流とその部屋で事務員として働いている人、十数名が書類とにらめっこをしていた。
偶然居合わせた流浪三保も無理矢理そのにらめっこに参加させられ、面倒臭そうにそう言った。
「三保は元々事務員志望で入ってきたんだから戦力くらいにはなるだろ? これだけ居ても手が足りていないくらいなんだ。手伝ってくれ」
「元々の話だろ。でも、今の私はアイドルなんだよ。ア・イ・ド・ル」
「わかった、わかった。『フ☆レ☆ン☆ド』みたいに言わなくていいからさっさと手を動かしてくれ」
三保は流に軽くあしらわれて嫌々ながらもしっかりと止まってしまっていた手を動かした。
「ねぇ、プロデューサー」
「何だ? 休憩ならわざわざ許可取らなくて良いから勝手にしてくれ。でもすぐ戻れよ」
「そうじゃなくて、さっきから言われるがままに手伝ってるけど私は一体何をしてるの?」
「来週行われる最終オーディション用の書類整理とかプロジェクトのメンバー関連のスケジュール管理とか色々だ。あとは、他のプロジェクトから押し付けられた仕事だな」
「私もだけど嫌々引き受けるなんて本当にお人好しだよ」
そう思った三保だったが、人前で流を褒めるのは嫌だったのか、その言葉は心の中に留めておいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます