六月かえで 〜ムツキカエデ〜

「ねぇ、廻ちゃん明日って仕事?」


昼休みに入ってすぐ、六月かえでは初野廻にそう聞いた。


「うん。いつも通り学校が終わってからだけど」


「じゃあ、明日のノートお願いしても良い?」


「良いけど、もしかしてプロデューサーさんスケジュール調整間違えたの?」


アイドル達の間で有能と言われているプロデューサー川野流の事なのだからその様なミスをするのか気になったのか廻は頭に疑問符をたくさんつけながらそう言った。


「調整はしてもらっていたんだけど、ロケ先の事情でどうしても時間を早めなくちゃいけないらしくて。でも、5時間目の授業までは出るから6時間目のだけ」


「現場の都合じゃ仕方ないよね。いいよ、ちゃんとノート書いておくね」


「本っ当にありがとう」


かえでは廻を拝む様にして感謝の言葉を告げた。


「そんなにありがたがらないでよ」


「お礼にお土産買って来るから」


「だから、そこまでしなくていいって」


「絶対買って来る」


「そこまで言うなら期待して待ってる」


廻が押し負けてそう言うとかえでは満面の笑みで、


「待ってて」


と、言った。

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