扇動眞穂 〜センドウマホ〜

和水プロダクションが事務所として所有している地上10階、地下3階建てのオフィスビルに隣接している和水プロダクション事務所別館の第5スタジオでは多くの大人たちが忙しなく動いて6畳程の部屋のセットを組んでいた。


「おはようございます。いつもありがとうございます」


大方セットが組み終えると、このセットを使う扇動眞穂が芸能界で働く者であれば当たり前の挨拶をしてスタジオにやって来た。


「眞穂が来たので打ち合わせの方を始めたいと思います」


この番組の発案者で眞穂のプロデューサー兼マネージャーでもある川野流がそう言うと、スタッフたちは行っていた仕事を一時的に中断して打ち合わせ用に用意されていたテーブルを囲んだ。


「眞穂、後は頼む」


アイドルよりも忙しい流は眞穂にそう言うと別のアイドルのマネジメントへ向かった。このような事にはもう慣れている眞穂は動じることなく


「はい、今回の収録は」


と、いつものようにスタッフと大まかな流れや予定していた箇所との変更点を雑談を交えながら打ち合わせた。


「それでは、収録の方を始めます」


スタッフの1人がそう言うと、他のスタッフたちは親指と人差し指の先を合わせてOKサインを作り各持ち場で準備が整ったことを伝えた。


「行きます。5秒前、4、3」


2と1は指だけで示して和水プロダクションの中で極度のゲーム好きである眞穂のゲーム実況プレイを放送するネット番組の収録が始まった。

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