管心音 〜スガココネ〜
巷で噂のバラエティアイドル管心音の周りはいつも笑いが絶えないが、この日は笑いが絶えない理由が少しおかしかった。
午前7時 午前9時から始まる生放送の打ち合わせの為に少し早く局に入った心音はいつもとは違う控え室に通された。
「お菓子用意してあるから勝手に食べて良いぞ」
「いつもは何もないのにマネージャー何か良い事でもあったんすか?」
「別に特別良い事があった訳ではないが」
「そうっすか」
心音は川野流の言葉を疑う事なく控え室に入った。
「おっ! 甘い匂いがするっすねぇっ⁉︎ な、何なんっすかこれ?」
「そんな大きな声を出してどうした?」
「どうしたもこうしたも無いっすよこの控え室、床以外がお菓子にって、マネージャー、そのビスケット柄のスーツは何なんっすか?」
「何を言っているんだ? 俺はさっきからこれを着ていただろ?」
驚きのあまり脳が今起こっている事を処理出来なくなっている心音に当たり前のようにそう言った流は柄にもなく綺麗なステップを踏んで半回転してみせた。すると、心音の目には「ドッキリ大成功」と書かれたビスケット柄のスーツが映った。
心音はこれで終わりだと思っていたが、いつも通り笑いこそ絶えぬものの少しおかしな生活はこの後も続いた。
「今日は何なんっすか? 衣装が全部お菓子の柄だったり、ウチの筆記用具がペン型のチョコレートになってたり。いや、美味しく頂いたっすけど、ドッキリと言うよりは嫌がらせっぽいっすよ」
「実はな」
そう言うと流は心音の耳元で大体のドッキリが単純な嫌がらせのようになっていた理由を告げた。
「いやいや。最初の控え室のくだりでウチに使うドッキリの予算がほとんど無くなったって、あのビスケット柄のスーツの所為っすよ」
どうしようも無い理由で力の抜けた心音は白いクッションの上に座り込んだ。しかし、それはクッションでは無く……。
「これ、マシュマロじゃないっすか‼︎」
しばらくしてこの映像は特番のドッキリ番組にて全国に放送された。
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