熊野恋歌 〜クマノレンカ〜
現在のアイドルブームの火付け役となった和水プロダクションの中でも注目度の高いユニット『フ☆レ☆ン☆ド』のリーダー熊野恋歌は高校2年生となったこの春から新たな事を取り組み始めていた。
「『右、右、左、見て! ミテ!』? れんちゃん、コレってポエム?」
「くにみーはすぐに人のものを盗み読みして。飾利ちゃんのノートみたいな人に見られたくないものだったらどうするの?」
「うぅ、ゴメンなさい」
「くにみーだってプロデューサーのスケジュールが書かれた自分のスケジュール帳を見られたくないでしょう?」
恋歌は悪戯な笑みを浮かべてからかうように美佳にそう言った。
「な、何で……。じゃなくて、そんな事してないからね」
「動揺した理由は後でイッキと一緒に問いただすとして、今くにみーが見たのはいずれくにみーも見る事になるものだったんだけど、パッと見でどう感じた?」
「えっ⁉︎ うーん、ちょっとしか見てないからわからないけど、れんちゃんがそんな乙女チックなことを書いてるのは意外だったよ」
「やっぱり幼馴染だと感性が似るみたいね。イッキも同じ感想を言ってた」
「れんちゃん、イッキに先に見せたってどういう事?」
「なぁに? また嫉妬? でも、コレは今度『フ☆レ☆ン☆ド』で歌う予定の歌詞を書いているだけだから作詞の先輩であるイッキに見てもらって感想を聞いただけだから」
恋歌は先に樹に見せた理由を告げたが、美佳は納得しなかったようで頬を膨らませていた。
「1人だけ除け者?」
「そうじゃなくて……」
「いいよ。れんちゃんには内緒でわたしも作詞するから」
美佳は2、3時間で収まる怒りを露わにしながら恋歌の前から立ち去って行った。
「くにみーはおバカだなぁ」
恋歌は呆れつつも、その幸せな日々を歌詞として書き連ねていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます