菊水唯 〜キクスイユイ〜

「あぁ⁉︎ 何だよコレは⁉︎」


5月から正式に活動が開始となるユニットの一員である菊水唯はプロデューサー兼マネージャーの川野流が渡してきた衣装を見るなりそう叫んだ。


「何って、今説明しただろ。 ユニット用の衣装だ。細かいところの修正をして今月末には出来上がるらしいが」


「細かい修正をするんじゃなくて全体的に作り直せよ! オレはこんなフリフリの衣装で人前には立たねぇぞ」


「そんな言い訳が通用する訳ないだろ。でも、フリルは少し唯のイメージに合わないと思ったのも確かだからデザイナーには初期案の時点で伝えたんだが、一応初期案のイメージで衣装を作ってくれたみたいだな。ちなみに、これが正式デザインだ」


流はそう言うと2日前に届いたばかりの正式なデザイン画を唯に渡した。


「フリルがまだ残ってるのは気に食わねぇけど、スカートがショートパンツになってるだけマシか」


「唯、わかっていると思うが」


「必ずしもデザイン画通りの衣装が出来るとは限らないだろ? んな事は言われなくてもわかってるよ。今回はプロデューサーがオレに気を利かせてフリルを減らすように頼んでみてくれたみてぇだから多少フリルが多くても着てやるよ」


「なんだ? デレ期か?」


「違げぇよ!」


唯は恥ずかしそうにそう叫ぶと、流にデザイン画を押し付けるように返却してプロデューサールームを出て行った。

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