浮島七海 〜ウカジマナナミ〜

3月初旬に高校を卒業したアイドル浮島七海は進学先は決まっていたものの、この先自身が進むべき道について思い悩んでいた。


「これからどんな活動をすれば良いか?」


「年下の子に聞くような話じゃないけど、アイドルとしては志奈さんの方が先輩だから」


「なるほどね。なら、ん〜と。お天気キャスターは?」


志奈が言ったそれは志奈の数ある仕事の中の一つだった。


「お天気キャスターか、今までの学生生活で等圧線とか、気圧の変化とかは教わった事があるけど、その程度の知識では仕事にならないよね?」


「言うまでもないね。でも、七海さんならちょっと勉強すれば私の地位を脅かすレベルになると思うよ」


「それは流石に私を過大評価し過ぎだと思うけど、この春休みはお天気の勉強を真剣に頑張ってみる」


「まぁ、仕事に影響が出ないくらいに頑張ってぇ」


志奈はそう言うと座っていたソファに横になりすぅすぅとそれはそれは可愛らしい寝息を立てて眠り始めた。


「ありがとう、志奈さん」


七海は志奈の耳元でそう囁くと自分が使っていた膝掛けを毛布代わりにしてそっと掛けてあげた。

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