初野廻 〜ウイノマワリ〜
年季の入った「プツッ、プツッ」というノイズが鳴るとそれを聴いた者たちは一斉にスピーカーから流れる音に耳を傾けた。
「週末金曜日、皆さまいかがお過ごしでしょうか? 3年生の先輩方が卒業してしまって悲しい思いをしている方が多いのではないでしょうか? 私も静かになってしまった学校に寂しさを感じます。……静かといえば、今回の『初野廻の校内放送』は終業式後の放送という事でいつも以上に静かな学校での生放送と聞いていたのですが……なんと、この放送を聴くために多くの生徒が学校に集まってくれているそうです。みんなありがとう‼︎」
校内放送アイドルとして学生の間で親しまれている初野廻が自身の通う高校で毎週金曜日の12時から放送している『初野廻の校内放送』を聴くために学校には休み明けまで来る必要のない生徒達が各教室のスピーカー前に集まっていた。
「さて、なぜ今回の『初野廻の校内放送』が春休み中に放送するに至ったのか、みんな知りたいですか?」
廻の言葉に各教室のスピーカー前では男女問わず多くの生徒が「知りたーい」と大声を上げていた。その声は放送室にいる廻にも微かに聞こえていた。
「みんなの知りたーいにお答えしましょう。なんと、私、初野廻は来年度も金曜日のパーソナリティを継続する事が決まりました。拍手」
その発表に各教室では拍手が鳴り響き、生徒の中には泣いて喜ぶ者もいた。
「でも、発表はこれだけじゃないですよ。発表その2、来年度の放送には毎週私の所属する事務所からアイドルをゲストでお呼びする事になりました」
廻の校内放送を手伝っていた放送委員も知らされていなかったその発表に校内はその後の放送が全く聞こえなくなってしまうほど盛り上がった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます