第6話

翌週の水曜日。

出社して自分のパソコンを立ち上げ、メールボックスを開くと、見慣れないアドレスのメールが入っていた。

毎日大量に送りつけられてくるメールマガジンの類だろうと思ったが、メールアドレスの一部に『under-snow』という文字が見えた。ん、under-snow・・・下、雪・・・雪下? そう思った俺は気になって、プレビューウインドで文面を見てみた。

そのメールは、あのカナに似た女の子からだった。


  先日、あなたに助けていただいた者です。

  本当に怖かったので、家まで送ってもらってうれしかったです。

  ○○会社に勤めているのですね。

  これから○○会社を応援します。

  本当にありがとうございました。


なんで俺のメールアドレスや勤め先を知っていたのだろうと疑問に思って、すぐに名刺を渡したことを思い出した。こんなことも失念するほど、あのときは舞い上がっていたんだろう。メールを読んで、俺はなんだかとてもうれしくなってしまった。

俺は早速、返信を送った。お礼に対するお礼のメールだったけれど、なんとなく勢いで、またメールを送ってもいいですか、と書いてしまった。

送信ボタンを押してしまってから、少しだけ後悔した。あの子はどう見ても二十歳前後で、30歳近いおっさんが言う言葉じゃなかったな、って思ったんだ。

でも、間もなく返信が来た。答えは、OKだった。俺はまたしても舞い上がってしまい、すぐに返信した。このアドレスは仕事用なので、これからはこちらの携帯電話のメールアドレスに下さい、と書いて、携帯電話のメールアドレスを添えた。

すると、すぐに携帯電話にメールが着信した。やっぱり彼女からで、「了解です」という内容だった。


それから、その女の子は俺のメル友のようになって、頻繁にメールのやり取りをするようになった。

メールで名前を教えてくれたんだけれど、その子は『雪下佳奈』という名前だった。顔だけじゃなくて、名前まで似ていて俺は驚いた。それから、年齢は当時24歳で、俺の4歳年下だった。もっと若く見えたんだけど。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る