闇と光10

『闇』に落とされたものもまた神格を持つと仮定すれば、いくつかの『お約束』なパターンに符合するのではないだろうか。


『闇』といえば、邪神。

『光』といえば、善神。もしくは全能神。


 この、ファンタジー世界には欠かせない構図である。


『闇』を友とし、(=光の生物でありながら、闇に慣れた)

邪神      (=『光』の神格を善とする一神教の場合、その他の神格は全て邪)

をあがめ    (=わざわざあがめているわけではなく、土着の信仰に近しいと推察される)

『光』を憎み  (=これまでに説明した通り、彼等の(祖先は)追い出されたのである!)

『世界』に害なす(=この場合の『世界』は『光』を進行する生物社会)

存在たちとなるのである。


『闇』に慣れ親しんだ彼等は、生きるために『異形』となることもある。

 どのような理由があるにせよ、恩赦もなく、生涯……それどころか、子々孫々と生きづらい『闇』の世界に閉じこめられる。

『闇』の神の計らいにより、『光』の世界への口が開けたのなら、『光』を欲する事を誰が止められよう。


 そして逆に、『光』と『闇』。この2元論で語られる場合、最も”悪”と談じる事ができるのは、侵略してくる『闇』の生物ではなく、『闇』の生物に力を貸す『闇』の神、ともいえず。そもそもの原因を作った『光』の神……とも言えるのではないだろうか。


 さらに、この構図から預言されうる『お約束』がある。


 自分で世界を構築する事の出来ない『闇』の神は、世界を構築し、生物を移動させる事まで難なくやってのける『光』の神に較べ、明らかに力が劣っていることが推察できよう。


 ……『闇』は『光』に勝てないのである。


 *


戯言シリーズ『闇と光』 完

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