闇と光09
『世界』の中に閉ざされた存在は、その事象を左右する事はできない。
これは、漫画にたとえれば、漫画の中の人物が、3次元である『現実』に干渉する事に相当する。
メンタル面に訴えかけるとか、漫画の主人公に言われる事を信じてしまうというような干渉ではなく、物理的な干渉である。
漫画の主人公が手を振ったら、いままで漫画の中で主人公の隣にいた人物が忽然と消え、他の紙やページに……たとえば、裏のページに現れるといった現象に相当するだろう。
難しい事は想像に難くない。
もちろん、『世界の外』の存在であれば、それは容易い事であるということも判っていただけるだろう。
『闇』をつくり、静物を『闇』に落とす事で『光』を『光』たらしめたのは、神なのである。
では次に、『神』によって、落とされたのは、どのような存在であるべきだろうか。
1 『神』より上の力を持ってはいない。
不意打ちであれ、落とされたのは間違いない。
従って、少なくともその時点で、『神』より、能力が上待っているとは考えづらい。
2 『世界』を創造する力はない。
持っていれば、わざわざ侵略せずとも、自分たちにとって都合の良い世界を作ってしまえばよいのである。
復讐を果たすとしても、自分たちにとって振りとなる『闇』を拠点にする必要はないし、……そもそも、『光』しかしらないその世界に閉じた生物にとっては、復讐にならないだろうことに気付くだろう。
(ところで、『世界』の終わりについて、皆さんはどうお考えだろうか。大崩壊? 世界戦争? それは、地球文明の終わりであって、宇宙を含めた『世界』ではあり得ない。世界の終わりは恐らく、前触れのない全ての消滅であると思う。……漫画を消し去るのに一枚一枚破り去る手間など必要無く、単にマッチ一本があればいいように)
3 世界を渡る力はあるかも知れない
ほころびがあるのかも知れない。
接点があるのかもしれない。
もしくは、全くないそれらを作り出す事ができるのかも知れない。
『世界』に閉じた生物には、『亀裂』があったとしても、そこから世界を渡る事はできない。
『亀裂』は亀裂であって、亀裂の中はその『世界』には属さないからだ。
『亀裂』に気付く事は出来るかも知れない。しかし、通常の生物ならば、渡る事はできないのである。
やはり漫画にたとえるなら、紙のまん中に開けられたナイフの跡のようなものだろう。
2次元世界で連続するべき箇所が連続していない。その異常を感じる事はできるだろう。
しかし、2次元のキャラクターが、そこを通じて裏へ移動する事はできない。
2次元のキャラクターが裏へ回る事ができるのは、メビウスの環のようにねじれている場合のみだ。(当然、2次元に属する彼等には、世界をねじる事も出来ない)
世界をわたる、若しくは、メビウスの輪のように、ある世界をねじってしまう事ができるのであれば、『闇』に落とされた某は……某たちの1人は、やはり神格を持つ存在に近しい事になる。
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