闇と光06

途中、中休みを挟んで、進もうと思う。


『闇』 つまり、『光』の世界とは違うエネルギーを主とする世界であれば、そこに育つ生物は『闇』を光とするはずである。

 もし、『闇』にありながら、『光』を……いわゆる、人間に取っての可視光を見る事ができるということは、その生物は『光』の世界で生まれたと推測が出来る。


 ではなぜ、『闇』に生きているのか。


『闇』で生きる方法自体は、さほど難しい事ではない。

 僅かな『光』を持ち込むと言う方法もあれば、視覚以外の感覚を研ぎ澄ますという方法もある。

 弱視や、視覚を失ってしまった人は、視覚が有る側から見れば、不便でとても不幸のように思えるが、かといって、生活できないわけではない。

 視覚が弱い代わりに、音を聞き、肌で感じ、物事を判断する事ができるのである。

 ならば、世界が闇であっても、暮らす事ができないわけではない。

『目』を持っていて、退化した生物さえ、いるのだから。


 かように、闇で生きる事は出来ないわけではない。

 しかしなぜ、闇に住まわねばならなかったのか。


 この問いに答えるためには、違うアプローチが必要だろう。




 先にあげた善悪の構図/そして、異世界の生物が『光』へ出てくる理由を加味して、『光を求める理由』を考えてみたい。


①生活圏の拡大に伴う侵略

 ①-1 土地

 ①-2 食料

②憧れ

③嫌悪



①生活圏の拡大に伴う侵略


 この理由については、さらにつっこむと2つのパターンが考えられる。

 一つ目は土地の問題であり、

 二つ目は食料問題である。


①-1 土地


 生活圏が拡大する事で、文字通り土地が不足した場合である。

 世界を異にする というファンタジー世界のお約束を取っ払ってしまえば、小さな国が大きな植民地を欲するのは歴史上、珍しい事ではない。

 もっとも、地球の歴史の場合は、植民地・奴隷・食料生産など、密接に絡み、一概に『土地』だけとは言えないが、大抵の場合、土地に付随する利益をあげることが目的になる。


 同じ世界の場合であれば、しごく単純でわかりやすい理由と言えよう。

 では、ファンタジーの世界に置いて、この『土地』を理由にする場合、どんな条件が必要だろうか。


 まず、『住む事ができる』というのが重要な要素だろう。

 闇から光。暗いところから光溢れる場所なら、何の問題があるのかと思われるかも知れないが、それでは、宇宙空間に人間は住めるだろうかと、問い返す事になる。

 もしくは、金星に。


 文字通り、宇宙空間には空気がない。気圧もゼロに近しい。

 1G 1気圧の下で生まれ、酸化反応によりエネルギーを取り出す生物にとっては、宇宙は死の世界も等しい。

 では、金星には住めるだろうか。

 金星は推測であるが、2酸化炭素、硫酸化化合物が大気の構成要素の大部分を占めるという灼熱の星である。

 地表付近の気温は500度に達すると推測されている。

 温度も論外であるが、大気構成からいっても、人間が住めるとは思えない。

(地球上にも、300度の熱水中に生きる生物は存在する。それらはもしかしたら、金星でも生きられるかも??)

 観測用機器も大気に溶け、使命を終える星なのである。


 同じ宇宙でさえ、星が異なるだけで、『住めるかどうか』が変わってくる。

 では、世界が違う時に、『住める』条件は何だろうか。


 まず、大気組成が似たようなものである必要がある。

 水生生物で有れば、水……海の組成が、である。

 これが異なれば、金星に住むような努力を払う必要がある。


『光』の世界を地球に置き換えて話せば、次に必要なのは、生物が、炭素系である必要がある。

 人が住めればいい、とは行かない。

 頻繁に行き来できるような状態であれば、ベッドタウンと言い切る事も可能ではないが、人が住まう事は、すなわち生活を営む事であり、衣食住を満足させる必要がある。


 よって、土着の生物として炭素系生物……侵略者と、同系の生物がいる土地である必要があるだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る