闇と光03

『可視光』から得られる情報量は少なくない。

『闇』に生きる生物は、それに匹敵する情報量を、『可視光』以外から取得せねばならず、それ故、『光』の中で暮らす生物にとっては、想像も出来ない進化を遂げた。深海の生物が『異形』であるのは、まさにそのためなのではないだろうか。

(もちろん、水圧やらなんやら、他にもたくさんの要素があると思われるが)


 つまり、『闇』に生きる彼らは、長い進化の過程の中で、『闇』で暮らすに最適な

身体を手に入れたのだ。

 もはや彼らは『可視光』を必要とはせず、別な『エネルギー(=光)』から情報を得て、行動していると言うこともできよう。


 さて、ここで話を少々変えようと思う。

 いわゆる『闇』とは、『闇』の生物とはどんなものか簡単に示せたと思う。

 それでは、『闇』から『闇』を見た場合、『闇』から『光』を見た場合、どのように見えるのだろうか。

『闇』の生物に成り代わって考えてみたい。

(もちろん、『闇』の生物の感覚器など分かるはずもないので、全て想定であるが、

妥当だと思われる方向ですすめていきたい)


 まず、『闇』の彼らは『闇』で最大限の情報を取得できるように進化したはずである。

 そして、その過程で『可視光』は不要となった。

『可視光』を情報として取得する必要がなく……そうすれば恐らく、『可視光』の入力器官は発達しない、若しくは退化するのが自然である。

 すると、『闇』の住人達は『可視光』を 『光り輝く』 とも 『色彩溢れる』 とも、感じる事はできないと想定される。


 かわりに、『闇』の中にある『可視光』ではないエネルギーを取得している事が予想されることから、

『可視光』ではないエネルギーを、『色』に相当する感覚で捉えている事も、十分に考えられるのではないだろうか。


 つまり、『闇』の生物たちは、彼らの世界の中で、『可視光』世界の生物には感じられない『光り輝く』 『色彩溢れる』 生活を送っていると考えられるのである。

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