闇と光02

『光り輝く』 や 『色彩溢れる』 がどのような状態かを見たところで、

 今度は『闇の世界』とはどういう物なのかを見ていこうと思う。



『闇』とは『光』がない状態を言う。

 太陽が沈んで後、夜の時間帯は『闇』であるし、昼間であっても、窓のない空間には『闇』がある。

 そんな頑丈ではなくても、厚みのある紙で箱を作るだけでもいい。

 箱の中は『闇』である。

 人工的でない闇もそこら中に転がっている。

 簡単には『宇宙空間』であり、深海も『闇』の世界と言われる。


 では、『闇』とは?


 これらの状況に対して共通している状況は、

『可視光が届かない』事である。

 可視光エネルギーの大部分は太陽などの恒星に由来するから、恒星と向き合う『昼間』に大して、惑星自身の影に入る『夜』は可視光の届かない状態と言える。

 窓のない空間ならば、そもそも可視光の入り込むスキはないし、厚手の紙で遮られても、可視光は届かない。

 宇宙空間には可視光が無いわけではないが、散乱する大気が無いため、地上で思う『明るさ』とは別になるはずである。

 故に、しばしば『闇』と表される。


 しかし、これら『闇』の状態は『可視光』がないだけでしかない。

 紫外線を、赤外線を、電波を、X線を見る事ができれば、さぞや賑やかになるだろう。

 つまり、『光』自体が存在していないわけではなく、主観となる『人間』の目に、『光』として映らないだけであるといえよう。



 ところで、『闇』の世界にも、生物は多く存在する。

 宇宙空間の生物は確認されていない事から、例としてあげるとなると狭い範囲に限らなければならないが、決して少ないわけではない。

 代表的なものは深海魚であろう。

 ほ乳類でいえば、コウモリなどがそうである。

 ミミズやモグラ、地中に存在する動物も同じである。

 これらの『目』は退化している。

 ほ乳類などでは特に、完全に無いわけではないが、機能は著しく低下しているのが常である。

『見えないのに、どうやって?』と思う方もいるだろうが、

 彼らはそもそも『可視光』で物を見ているわけではない。

 可視光とはべつのエネルギーを得る事で『視界』を確保しているのだ。


『視界』の一つの例としては、コウモリの超音波が比較的有名だろう。

 コウモリは超音波を発し、反射した超音波を受信する事で障害物の位置を知る。

 超音波は光ではないが、エネルギーとしてはひとくくりにできろう。

 そう。『闇の世界』の中で、『闇』に巣くう彼らは、『可視光』が無くても問題がない能力を身につけたと言えよう。

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