第3話なんでそんな喋るの?

その女性とすぐ、近くの喫茶店に入りました。


僕は初対面の女性に、とりあえず沈黙は気まずいと思い、自分から色々喋りました。

自分の仕事のこと、共通の友人のこと、今までの恋愛話など。


その小さな女性は、すごく聞き上手で、すぐ僕の話を聞き、自分も色んな話をしてくれました。


あっとういまに、二時間がたっていました。

なんで、こんなに俺、喋ってるんだろう?

その女性に対しての初対面の印象は、特に覚えていません。

とにかく、退屈させてはいけない!


そんな衝動にかられた事は、はっきり覚えています。


そしてその小さな女性は、僕にこう言いました。


「なんで、そんな喋るの?」


そうだ。二時間喋りっぱなしだったしな。

しかも、僕が芸人だなんて知らないのだから。

そりゃよく喋る男だと思うわな。

失敗したな、こりゃ。


と、思っていた。

 

しかし、彼女からはまた予想もしない言葉が返ってくる。


「それで、次はいつ会うの?」


ん?いつ会うの?

あっ、次があるんだ!

そう思いました。


社交辞令でその場を別れて、それっきりなんて事はないんだ。

次また会えるんだ。

彼女もこっちの印象、悪くなかったのかもしれない。


次に会う約束をして、別れ際に、その小さな女性は振り向いて、僕にこう言った。


「私の前では、あんまり無理して、喋らなくていいからね!」


「えっ?俺、喋りすぎてた?」


「ううん。退屈しないように、考えてくれてたんでしょ?」

 

「・・・いやあ。」


「ほな、またね!」


すごい気さくな女の子だな。

とりあえず無理をせず、フラットに接していこう。

そう思った。


気が付くと、その子と四時間喋っていた。


そりゃ、喋りすぎやわ!(>_<)

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