第147話 プリーモさんからの提案
「本当にベリートリア国に店が出せるんですか?」
プリーモさんが嬉しそうな顔で聞いてくる。
「タケルが聞きに行ってくれてるから大丈夫だと思いますよ。ただあちらはここの商品が目当てなんで少し置かさせて欲しいんですけど大丈夫ですか? もちろん今度はそちらが二割儲かるように納品しますよ。さすがに定価で納品して定価で売ってもらうのは悪いですからね」
二割じゃあ大した儲けにならないだろうけど受けてくれるかな。
「こちらもマジックショップナナミの商品を売るのは宣伝になるから有難いですね」
これでベリートリア国に店を出す話は解決できたよ。あとは孤児院の子の就職だった。
「就職ですか。ナナミさんのお願いなら聞いてあげたいんですが、今は空きがないんですよ。自分で言うのもなんですが、うちは福利厚生もしっかりして給料も悪くないので辞める人がなかなかいないんです」
福利厚生って何してるのかな。うちは何もしてないけど大丈夫かな。こちらの世界にも福利厚生ってあったんだ。しっかり聞いて改善しないとクリリもコレットさんも離れていくよ。
「そこで提案なんですが、プリーモホテルガイアで店を開きませんか?」
「何を言ってるんですか? 今も開いてますよ」
プリーモさん、ぼけたのかしら。
「いえ、商品を売るの店ではなくて、カレーとかラーメンを食べられる店です。聞けばカレーは10分お湯につける簡単なものだけでなく、本格的なものもあるそうじゃないですか。あとホットケーキも美味しいと聞きましたよ。そういうのを手軽に食べさせてくれる店を開きませんか。そうすれば孤児院の子の就職も解決しますよ」
とてもいい考えだとでも言うようにニコニコ顏のプリーモさんだけど、いくら何でも即席カレーとインスタントラーメンのレストランは駄目だと思よ。ガラガラの店内が想像できるよ~。
「プリーモさん、何を言ってるんですかそんなのダメですよ」
クリリが声を上げた。ほらクリリも駄目だと言ってるよ。
「抜けがけはダメですよ。レストラン開くのなら何もプリーモホテルガイアまで行かなくてもここで開きますよ。ねえ、ナナミさんもそう思うよね?」
クリリは反対じゃないんだ。絶対成功しないと思うんだけど。
「いえ、ここはプリーモホテルガイアで試してからの方がいいですよ。内装はこちらでするのでお金もかかりませんよ」
二人ともなんでそんなに乗り気なの?
「さすがに成人した子だけで店は回せないと思うの。料理ができる人を雇わないといけないから難しいわ」
「だったらベスさんがいいよ。ベスさんは料理が上手だって聞いたよ。ベスさんも働く所がないから家の手伝いしてるって話だから喜ぶよ」
それは知らなかった。ベスさんも獣人だから務めるところがなかったのかな。言ってくれたらいいのに....。
それにしても本当にカレーとかラーメンが売れるのかなあ。私が何か言うのをプリーモさんとクリリが待ってる。
やるにしてもこの二人のどちらの意見を採用したらいいのか。困ったなあ~。
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