第135話 ストロー付きボトルキャップ
旅人はまだタケルを待ってる。クリリが配達から帰ってきてもまだタケルは来ない。今日は来ないのかな?
仕方ないのでジュースをサービスしてあげた。コップに氷を入れてストローもさしてペットボトルのジュースを横に置いた。
「これは、最近流行ってるっていうジュースだね。どうやって開けるの?」
いつものように蓋の開け方を教えてあげると
「「おお~!」」
と感動してる。大袈裟だよ。
ストローもわからないみたいなので飲み方も教えたんだけど....子どもだね。ぶくぶく泡立てて遊んでるよ。
「クリリは真似したらダメだよ」
「し、しないよ~」
返事がどもってるけど、まさかしてないよね。
「この蓋に穴を開けてこれ突っ込んだら、使えそうじゃないか?」
「それいいかも。飲むのも楽だし」
ペットボトルの蓋に穴を開けるつもりかな? だったらあれを出してあげよう。
『ストロー付きボトルキャップ!!』
「これどうですか? 六銅貨で売ってるんですよ」
使い方も教えてあげる。
「え? これを6銅貨で?」
二人はびっくりしてるけど、六銅貨以上だと売れない気がする。手作りする人が多いから、値段が高いと自分で作りそうな気がする。
「そんなもんまで売ってるのか?」
タケルがいつものように突然現れた。
それを見て驚いたように二人は立ち上がった。緊張してるのか今までとは違って、直立不動? してる。
「なんでも、あるんだよ。高いものは無理だけどね。この二人はタケルのこと待ってたんだよ」
二人が緊張して黙ってるので、紹介してあげた。
「.....誰?」
え? 知りあいじゃないの?
「魔王退治の時に一度お会いしてるのですが....」
「覚えてるわけないよ。あの時は急いでたからタケル様とは会話もできなかったでしょう?」
そうかあ。会話もしてないのか。全然知り合いじゃないね。
二人はジョージとカンナと名乗った。タケルが魔王退治の時に立ち寄った小さな町の宿屋の息子とその幼馴染だそうだ。どうやらわざわざタケルを探してここまで来たらしい。
「なんか用か?」
「不躾ですが、タケル様が持ってる動物と話ができる指輪を売ってほしいのです。我が町を助けると思って売ってください」
動物と話ができる指輪? そんな便利なものがあるんだ。やっぱりファンタジーな世界だね。っていうかその指輪、私が欲しいんだけど? ティーグルと話ができるなんて、とっても便利だと思う。でもなんだかとっても高そうだよね。この二人に本当に買えるのかな?
二人の姿はとてもお金を持ってるようには見えない。お金を持ってるのを隠すためにわざとボロっちい姿なのかな?
タケルは二人の姿をジロジロと眺めながらおもむろに口を開いた。
「持ってない」
え?本当に持ってないの? それとも二人の姿からお金を持ってないと判断して断ったのかな?
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