第134話 久しぶりの店番
「いらっしゃいませ~」
「おう、ここにオールド眼鏡が売ってると聞いたんだが...」
「こちらになります」
「この度数というのは?」
「人によって目が悪くなってる段階が違うんですよ。強くなるほど数字が進むんですよ」
「あ~、困ったなあ。土産に頼まれたんだがどれがいいかわからないな」
「それだったら無難に1.5くらいでどうですか?」
「そうだな。遠いからまた来るってわけにもいかないしそれにしよう」
「ありがとうございます」
久しぶりの店番は緊張した。今日はコレットさんが休みをとってるのでクリリと二人で店番をしてたんだけど、クリリが商業ギルドに配達に行ってるので今は一人だ。
『カランコロン』
「いらっしゃいませ~」
旅姿の二人が入ってくるなりキョロキョロと何かを探してる。男女の二人連れだ。間違えて入ってきたのかな。
「何かお探しですか?」
「こちらに勇者様が働いてると聞いたのですが」
別にタケルはここの従業員ってわけじゃないよ。なぜか社員旅行にはついてきてたけど。
「タケルはここの従業員ではないので、いつもいるわけではありませんよ」
「呼び捨て! 勇者様を呼び捨て! あなたはいったい何者なんですか?」
ありゃ。どうやら馴れ馴れしいと思われたよ。勇者様は呼び捨てたら駄目らしい。そういえばタケルって一応伯爵様だったね。
「何者ってただのタケルの友達? みたいなものですよ」
故郷が一緒って言うと私が異世界人だってバレるし友達でいいよね。
「あのタケル様に友達.....」
勇者様目当ての一般人かと思ってたけどタケルの知り合いか。これは待っててもらったほうがいいのかな。
「タケルならそのうち現れると思いますからこちらに座って待ちますか? アイスとかも売ってますよ」
いつ来るかわからないタケルをただ待ってるっていうのも退屈だと思うから、アイスを勧める。
「じゃあ、アイスを2つ....」
「こちらから選んでください」
アイスクリームが見える冷凍庫に案内すると、二人はとても驚いていた。ふふふ、やっとルイスさんに頼んでたガラス張りの冷凍庫が届いたよ。これのおかげでアイスクリームがよく売れるようになった。やっぱり目に見えないと買ってくれないよね。
「これ全部アイスクリームなんですか? こんなに種類があるなんて、それによく見れば変わった時計もいっぱい置いてあるし、防犯とか大丈夫ですか? 強盗とか多いでしょう?」
「え? 強盗とか一度もないですよ。ここって安全な街なんですよ」
変な事言う人達ですね。いくら何でもこんな大通りにある店はねらわないですよ。すぐ捕まるじゃないですか。
「ほら、タケル様がいるから強盗も遠慮するんですよ」
「それもそうね。勇者様の通う店にわざわざ入らないわよね」
なんか二人で納得してるけど別にタケルのおかげとかないと思うんだけど。それとも本当はタケルが守ってくれてるの?
タケルが来るまでこの二人はアイスクリームを何個も買ってくれた。売り上げ的には嬉しいけど、お腹は大丈夫かしらと心配になる程だった。
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