第125話 コイバナ?
「そっかぁ。西瓜が出来たら帰るんだ」
夕食後はタケルとクリリは自分たちの部屋に帰ったから、私たちはまくら投げという古典的な遊びを楽しんだ後でダラダラと話している。どうでもいいことからとても重要なことまで....。女の子の話は取り留めがない。
「はい。その後どうするかはサイラス様ときちんと話して決めます。家出なんてして困らせることはもうやめます」
カホさんは笑顔で話してくれた。。本当にいい子です。10才でこの世界に連れてくるなんて、女神様も酷な事しますね!
「ナナミさんはこれからどんどん店を増やしていくんですか? 」
「え? どうだろう? 生きていく為に始めただけだから.....」
本当に何も考えてない。カホさんは偉いな。私はタケルたちにいっぱい助けてもらってやっとこさ商売してる。ティーグルを飼うからプリーモ店を出したけど、その後どうするかって全然決めてないよ。
「次に店を出す事にしたら、絶対にベリートリア国にしてください。もし王宮出ることになってもベリートリア国で暮らすって決めてるんです。だからお願いしますね!」
目をキラキラさせたカホさんに頼まれてしまった。うーん。まあ、いっか。
「そうですね。絶対にって約束は出来ないけど、もし出店する事になったらベリートリア国の事も考えますね」
「わー、嬉しいです! このホテルにもいろいろ売ってるって聞いて今から楽しみなんです。明日はマジックショップナナミのプリーモ店に行ったり、水着ももっと種類増やしたいし......ワクワクしてます」
カホさんは本当に嬉しそうです。こんな可愛い子に惚れられてるサイラス様ってどんな人なんだろう。
「サイラス様ってどんな顔してるのか見てみたいですね。冒険者だった頃いろいろな国に行ったけど、ベリートリア国は遠いから行ってないので国王の顔知らないです」
「コレットさんもですか。私も見てみたいです。サイラス様ってどんな顔してるんですか? ーーでもよく考えたら私ってこの国の王様の顔も知らないよ。コレットさんは見たことあるんですか?」
「パレードとかでも見るし、似顔絵とか売ってる店もあるから、国民ならさすがに知ってますよ」
そうか。写真はないけど絵があるんだ。ってことはカホさんも持ってるのかな?
「カホさんはサイラス様の似顔絵とか持ってないの?」
私が聞くと
「あの、写真が見れます。スマホに撮ってるので....」
と恥ずかしそうに言う。
「え?!」
まさかスマホが出てくるとは思わなかった。
百均の充電器のおかげでまた見れるようになったと嬉しそうにカホさんが教えてくれた。でも写真を撮ったのは5年前の事らしい。充電が切れる前に隠し撮りしたそうだ。
「うわー。なんか、ザ・王子って感じだね。キラキラしてるっていうか眩しいね」
「本当に。5年前でこれだったら今はもっとかっこよくなってるんでしょうね」
私とコレットさんの感想は似たり寄ったりだった。カホさんの侍女のマリーはスマホの写真にとても驚いてた。
「こんなに鮮明な絵があるなんて。昔のサイラス様そのものです!」
コレットさんは写真を見慣れてきてるから、あまり驚かなかったけど普通はマリーさんの感想になるのかな。
「サイラス様ってどんな人なの?」
何気ない質問だった。でもこの質問は恋する人には聞いてはいけなかった。特に離れている為にどんどん美化していってる人には聞いてはいけなかった。
私とコレットさんとマリーさんはカホさんの惚気の入ったサイラス様の話を延々と聞かされる事になった。
ティーグルは部屋の端にある自分用のベッドで人間の恋話には興味ないとしっぽを時々振りながら眠っている。私も眠りたいよ~。
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