第121話 異世界の水着



「ありがとうございます。ではお礼に皆様方の水着を用意させてもらいました」


ルイスさんに百均の商品をホテルで売ることを了承するととても喜ばれた。水着を用意してるってことは脈ありと思われてたのかな。


この世界の水着は洋服型だった。まあ、さすがにビキニとか着たら卒倒されそうだけど、こんなので泳げるのかなぁ? 女性のもズボン型なのはこの世界のでは新鮮だけど膝下まであるよ。水着を着て沈んで行くイメージしか浮んでこないけど.....。


「これって着ても沈まないの? 水含んで重くなりそうなんだけど」


私が自分に贈られた水着を見て、ルイスさんに尋ねた。


「水着作る糸は特殊な糸なので水をはじくんですよ。それにこの水着は深くは沈まないようになってます。深く沈みたい人には人気ないですが、この街の人は海が近くにないから王都に住む人と同じで泳ぎが得意でないと思ってこちらにしました」


なるほど、さすが魔法の世界だね。この水着、日本で暮らしてる時に欲しかったよ。水泳教室のおかげで少しは泳げるけど、なぜか平泳ぎすると沈んでたからなぁ。この水着だったら沈まないから平泳ぎもできるはず。今から楽しみだよー。


「川でしか泳いだことなかったから心配だったけどこれだと安心して泳げるね! 」


クリリの水着はTシャツに半ズボン。いつもと違和感ないような......。


「これ素晴らしいわ。水着は前にも着たことあるけど、こんなに良い素材で出来てなかったから今から着るのが楽しみ!」


コレットさんのは私のより大人っぽい感じの水着だ。でも私たちのサイズよくわかったよね。商売人ってそんな事も分かるの?


「水着はホテルの方でも取り扱ってるので、違うのが欲しい時はいくらでも言ってください」


ルイスさんはニコニコと嬉しそうだ。


「水着を売ってる横が『マジックショップナナミ プリーモ店』になります」


「は?なんでマジックショップナナミになるの?」


「最初はこちらの商品もプリーモの店で一緒に売る予定だったのですが、タケル様から必ず『マジックショップナナミ』の商品だと分かるように売るようにと念を押されまして。私が迂闊でした。やっぱりナナミさんも商品を盗られたように感じますよね。そこで店自体を別にして売ることにしました」


どうです? 安心したでしょう? と言われて驚きだよー。はっきり言って普通に一緒に売ってくれた方が良かった。まるで3号店ができたみたいじゃないの!


「従業員はこちらで雇うので安心してください」


私が不機嫌になったのを感じたのかルイスさんが見当違いなことを言う。


「ところでいつ頃オープンするのですか?」


さりげなくコレットさんのが話題を変えた。


「一週間後に予定してます。それでオープン前に店の方に商品を入れて欲しいのですがよろしいですか?」


仕方ないのでタケルと行くと言った。ひとりじゃ辿り着けないよ。でも、ウォータースライダーのせいで遅れてるって聞いてたからもっと遅くなるかと思ってた。オープンの時は招待されてるから店を休むって言っとかないと。


「タケル様も一緒ですか.......嬉しいです」


全然嬉しそうに見えませんよルイスさん。商売人なのにそんなことでいいのかな。


「ナナミさん! 」


「はい?」


「もう何を言われてもオープンの日にちは伸ばせませんから!」


ルイスさんが大きな声で宣言してます。そんな事ここで宣言しなくてもいいのに。


「はぁ。それはそうでしょうね」


「タ、タケル様にも言っておいてくださいね。お願いしますよ」


もう少ししたらタケルも来るからその時に言うといいよと言ったら、用事があると言って慌てて帰って行った。

タケル......何かしたのかな?












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