第122話 プリーモ店の開店準備



「え? こんなに広いの?」


店が閉店してから夕飯をタケルとクリリと私で食べてからルイスさんのホテルへ。ティーグルは残念ながらお留守番。


『マジックショップナナミ プリーモ店』は思ってたよりずっと大きかった。


「これって1号店より大きくない? あれ?あれって........やっぱり、ガラス窓のついた冷凍庫だ。その横にはガラス窓付きの冷蔵庫もある。出来てたのね~! うちのはどうなってるのか後でルイスさんに聞かないと。これだけ大きいと夏は浮き輪とかでかさばるからいいけど、冬は何を売るか考えとかないとガラガラした店になっちゃうね」


私が腕を組んでる横でタケルとクリリも驚いている。


「冬も温泉プールが使えるようにすれば、すごーく人が集まって儲かりそうだがな。この世界は娯楽が少ないから、成功すればここはネズミの国より人が集まるんじゃないかな」


タケルはまたもやルイスさんが逃げていくような発言をしてる。冬も温泉プールが使えるようにって......すごく大変だよね。


「ネズミの国かぁ。まだ一回しか行ったことないよ~~。人が多くて全部回れてないのに......もう行けないのね」


ネズミの国のこと思い出したら、ちょっとホームシック。そういうテーマパークはこの世界にはないよね。この世界じたいが夢の国みたいだからなぁ。


「帰りたいか?」


タケルが聞いてきた。


「それはやっぱり帰りたいよ。でもタケルが探しても帰れる方法なかったんだよね。だったらこの世界で頑張って暮らさないとね」


私の返事にタケルは下をむくと


「.........そうだな」


と答えた。何か変なこと言ったかな。


「すみません。遅くなりました。支配人のミリア・プリーモです」


プリーモってことはルイスさんの関係者ですか? でも全然似てないよ。ミリアさんは細くて背が高く色が白くて美しい女性だ。


「ルイスさんの娘さんですか?」


「いえ、姪です。もう少し小さいホテルの支配人にって話だったのですが、こんなに大きくてしかも温泉付き。とてもやりがいがあるホテルになりました。これもみなさんのおかげですね。これからもよろしくお願いします」


ミリアさんに頭を下げられて驚いた。まだ成功するかどうかわからないのにね。でも美しいだけじゃなく出来る女の人って感じだから大丈夫だね。


「商品を並べるので、値段を貼るのはお任せします。請求書はこれです。ただ思ってたより広いので数量が多くなった分は後で請求しますね」


「わかりました。売り切れは困るので多めにお願いします。そこのドアの奥が倉庫になってるので、ペットボトルのジュースとかアイスとか売れ筋は在庫の補充もお願いします」


ミリアさんは忙しいのか、挨拶だけすると帰って行った。

ミリアさんが言うようにレジの横にドアがある。開けてみるととても大きな倉庫だった。棚もあって置きやすいようになってる。大きい冷凍庫と冷蔵庫もあった。


「タケルのステータスに入れてある物は倉庫の方に置いていって。私とクリリは店の方に商品を並べていくよ」


これは最初だけのサービス。次からは商品だけを渡すことになってる。変な置き方にならないように最初だけは並べてあげることにしたのだ。


「この辺はオールド眼鏡と時計で、ここはカップラーメンでいいよね」


「ナナミさん、浮き輪はやっぱり膨らませておくの?」


「実物見た方が売れるからね。大変だけど頑張ってね」


「俺はこのポンプで膨らませるの面白いから好きだよ」


全部並べるのには思ったより時間がかかった。


「なんかお腹すいたな」


「夜食はやっぱりお茶漬け? ここで食べる?」


私とクリリとタケルは床にレジャーシートを敷いて用意していたお茶漬けをマジックかばんから取り出して食べることにした。

それだけだと寂しいので玉子焼きも追加した。たくさん用意しといて良かったよ。

やっぱり仕事の後の食事は美味しいね~!













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