第120話 設けるって大変
おかしい。ショルトさんと話をして満足して別れたけど、どうもおかしい。いつの間にか3つも家を買うことになっていた。
マジックショップナナミの店がある店舗付き建物。少し離れた所にある庭付きの建物。そしてなぜか店舗の隣にある倉庫。ティーグルと一緒に通うようになったらティーグル着地できる場所がいるとかなんとか言われて隣の倉庫まで買うことになった。よく考えたらティーグルはこの倉庫に住んでも良かったような気がするんだけど......。それだったら庭付きの家は要らないよね。
まあ、いいか。ティーグルも倉庫に住むより庭付きの納屋に住む方が喜ぶだろう。ただお金が......足りるけど、足りるんだけどだいぶ無くなってしまう。これは儲けることも少し考えないと......。
「ナナミさんどうしたの?」
「儲けることも考えないといけないなって思ってたの」
私が言うとクリリは少し驚いたような顔をした。
「え? 商売してるのに儲けること考えてなかったの?」
「ん? それは少しは考えてたよ。暮らしていくにはお金かかるからボチボチ商品が売れてくれたらいいなぁ~って」
「そうだったんだ。いろいろな新商品をポコポコ出してくるからいっぱい売りたいんだって思ってた。でも今以上に儲けていくつもりなら、あの話受けてみたら?」
あの話というのはプリーモ商会のルイスさんからのお願いのことだろうか?
ルイスさんが今建ててるホテルでアイスクリームや浮き輪、ビーチボールに扇子というマジックショップナナミで売ってる商品を売りたいっていう話のこと。定価で買うが売るときは2割高めに売ると言われて悩んでいたのだ。
ああいう所は少し高めに売るものらしいから問題ないと言われた。確かに日本でもホテルとかでは物が高く売ってるからいいのかな。うちの場合、定価なんてあってないようなものだしね。
「そうだね。今日来るって言ってたから返事するよ。それにしてもいつオープンするんだろうね。魔法を使うって言ってたからすぐ出来るのかと思ってたのに」
予約殺到してるのに私たちはオープンに合わせて招待されてる。代金は無料でいいって話だったけど本当にいいのかな。
「何言ってるの? ナナミさんがこの間の夏祭りの時にルイスさんに余計なこと言ったからオープンが延びたって聞いたよ」
クリリが呆れたように言うけど、何か言ったかな? 覚えがないけど......。
「温泉のプールも作るのならウォータースライダーは必須ですね~とか言ってたでしょう? 」
確かに言った。だってウォータースライダーがないプールなんて! プールじゃないよ!とも言ったような気がする。
「ウォータースライダーってなんなの? タケルさんは知ってるみたいでルイスさんに説明してけど」
そうなのよ。私も一生懸命説明したのに、どうもルイスさんに理解されなかった。そこで説明はタケルに変わってもらった。ルイスさんは難しい顔で聞いてたけど、途中から
「うんうん。それはいいね」
とか言い出してたから、かなり乗り気になってるなぁとは思ってけど.....まさかそのせいでオープンが延びてるとは思ってもみなかったよ。
「ざーっと滑って上から降りてくるの。下に水が流れてるからそのまままでも浮き輪の上に乗ってもいいの。で、プールにザブンって落ちるのよ」
ジェスチャーを交えて説明したけどクリリにもわかってもらえなかった。この国の人間は想像力が足りないね!
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