第100話 百均の女神さま

「いらっしゃいませ~!」


私がドアを押して入るととても美しい女性が2人いた。


「あら? ナナミさん、こちらへは初めてですね。いつも注文ありがとうございます。たくさん売ってくれて女神一同、喜んでます」


はぁ? 何を言ってるんだろう?

ここは何処? 私は誰? て感じだよ。

店の中はたくさんの商品でいっぱいだった。ここは百均だ。


「どうですか?ここでも老眼鏡はオールド眼鏡で売り出したんですよ。すると最近はよく売れるようになってホクホクです。ふふふ、まだわかりません

か? そうね、優しい女神さまでわかるかしら?」


ん? 前にどこかで聞いたような?


「あー!もしかしてユーリアナ女神さまですか?」


「正解です。こちらはベリーチュア女神です。2人でこの店を開いてるんです。神の国ではなかなか百均の受けが良くなかったんだけど最近はナナミさんのおかげで繁盛してます」


神の国で女神さまが商売してるなんて驚きですね。女神さまは優雅にお茶会とかしてるのかと思ってたよ。


「どうして百均なんですか? 女神さまが百均なんて似合ってないですよ?」


「私は日本の百均のに魅せられたのです。たったワンコインでこれほどのものが買えるんですよ。凄いことです。そしてナナミさん。あなたは私の同志です。2人で百均を広めましょう!」



ユーリアナ女神さまは私の腕を持ってエイエイオーとか言ってます。

熱い女神さまだ。暑苦しいくらいだよ~。

私は広めたいとか全然思ってないんだけど......どうしたものか。怒らせて百均取り上げられたら困るから付き合っておくか。


「何かオススメありますか?」


取り敢えずオススメでも聞いておこう。うちの店の役に立つかもだし。


「オススメですか? そうですね~最近リバーシが神々の間で流行してます。あとダイエットにいいと縄跳びも女神たちに人気です」


なんか女神さまが言ってるのって、うちで売れてるものと変わらない気がする。もしかしてユーリアナ女神さまたちって百均の商品を売ってるけど、実はどんなものか知らないのでは......。

だから今まで売れなかったんだ。私を見ていてどんなものかわかったらそれを参考にして売る。それで最近の売り上げが良くなったとか言ってる気がする。だめだ全然参考にならないよ~。

売れる商品は自力で探すしかないのね。期待した私がバカだった。ガックシ。


「ふふふふふ、そんな顔しないで。とおっておきがあるんですよ~!」


ユーリアナ女神さまとベリーチュア女神さまが手を取り合って“ね~”とか言ってる。これは期待できるのでは......。女神さまたちが得意げに言う商品っていったい......。期待に喉がゴクリとなる。


「それはね~........」


『ジリリリーー!』


「え? 聞こえませんよ~!!」


突然大きな音がして、女神さまの声が聞こえなくなったよ。1番大事な所なのに。


ああっ、女神さまの姿も薄くなっていく。待って~!



「待って~!女神さま~!」


ガバッと起き上がってハッとした。ベッドの上。


『ジリリリーーー!」


百均で買った目覚まし時計の音がこれでもかと鳴ってる。


「なんだ。夢だったのか~」


とっておきってなんだったんだろう。うー気になるよ~! 不思議と女神さまたちの顔が思い出せない。まあ、夢だから仕方ないか~。



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