第91話 初めての女子会ーベスside



ナナミさんにゆっくりお話がしたいと言ったら、女子会を開くと言われた。女子会? 聞いたことないけど頷いておいた。都会では流行してるのかもと思ったから。


翌日モリーと一緒にナナミさんを訪ねた。

テーブルには見たこともないもので溢れてた。ああ、女子会って食べることなのね~~。

女の子だけの会ってナナミさんが言ってたけど、何故か孤児院のクリリが座ってた。いつの間にかナナミさんの店の店員になってたからその関係かな。


「全部食べてみてね。試食も兼ねてるからいろいろな意見聞かせてね」


ナナミさんが勧めてくれる。元冒険者のコレットさんもいる。


私が一番気になったのは、ミルクレープ。


「ホットケーキミックスで作ったのよ」


ナナミさんが言った時、この間食べたホットケーキを思い浮かべた。ふんわりとした食感とあまーい匂い。上にかけられてたシロップもとても美味しかった。このミルクレープは全く違うものに見える。これが同じホットケーキミックスで作れるなんて!


「すごく美味しいです。本当にホットケーキミックスで作れるんですか? 私にも作れるかしら?」


「ホットケーキに比べたら手間がかかるけどね。それとやっぱり間に挟む生クリームが値段が高いのよね。特別な時だけ作ったらいいよ。作り方はいくらでも教えるよ」


やっぱりこの生クリームっていうのが高いのか.....。でも誕生日とか祝う時には作ってみたいな。今度作り方習っとこう。


「このドーナツもホットケーキミックスで作ったんですか?」


モリーはドーナツというのを食べてる。


「そうよ。ドーナツは油で揚げるだけだから簡単よ」


「味が違うのがあるよ」


クリリが2つのドーナツを食べ比べてる。


「上にかける砂糖を変えてみただけ。こっちはシナモンシュガーよ」


魔法みたい。私にはここが魔法の国のように感じられた。滅多に食べられないお菓子がたくさんあるのだ。


もう食べれないとお腹をさすっていると、ナナミさんがアイスクリームというものを出してきた。夏に食べる冷たいおやつだと言う。ーーそして私たちの憧れのデザート。貴族の方達が夏に食べる贅沢品。私も本で読んで知ってるだけ。


「これがアイスクリーム」


カップに入ったアイスクリームを渡された。固まってる私たちにスプーン使って食べるのよとナナミさんが教えてくれる。


「冷たいけど甘い。これがアイスクリームなのか」


クリリはガツガツ食べてる。もっと味わって食べれーって言いたい。


「これは......。食べたことない味ね」


コレットさんが一口食べた後また固まった。


私とモリーもゴクッと唾を飲み込んで、口にアイスクリームを入れた。


なんと表現したらいいのか。美味しいという言葉でいいのだろうか?

生まれて初めて食べたアイスクリームは冷たいけど甘く、そして忘れられない味になった。


その後も女子会は続いたが、アイスクリームが強烈すぎて後のことはあまり覚えてない。モリーに聞いたらモリーも同じだったみたい。こうして初めての女子会は幕を閉じた。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る