第92話 アイスクリームを売りたい



女子会は終わった。料理はたくさん作りすぎたのでずいぶん余ってしまった。余った分は折り詰めに入れてお土産に渡すと、ベスとモリーは夢見心地な表情で帰って行った。


100円コンビニでしか買えないと思ってたアイスクリームが百均の方で買えることがわかって昨日はびっくりした。こういうのってよくあるのよ。タケルにスマホの乾電池式充電器売ってないって言ったのに後で売ってることがわかって本当にあの時は驚いた。どうも店によって置いてるもの違うんだね。私が通ってた百均にはアイスクリーム売ってなかったんだけどなぁ。

というわけでアイスクリームこの世界で売れるってことになる。でも売っても大丈夫かな?



「クリリ、アイスクリームは売っても大丈夫かなぁ」


「アイスクリーム食べた後の2人変だったね。それに貴族しか食べてないもの売るんだからショルトさんに聞いてみたほうがいいと思うよ」


「そうだね。ショルトさんに任せよう」


困ったときはショルトさんだね。


「コレットさんはどう思う?」


私はコレットさんにも聞いてみる。


「実は私....アイスクリーム食べたことあるんです」


コレットさんがおずおずと言う。


「え? 食べたことあったんですか?」


コレットさんって何者ですか?


「はい。多分、タケルさんも食べたことあると思います」


私と同じでタケルは沢山食べたことある。でもコレットさんの言うのはこの世界でってことだろう。タケルはあれでも伯爵様ですから。


「はっきり言って今日食べたアイスクリームの方が美味しいです。味もいろいろあるし、きっと貴族の方々もこぞって買いに来ると思います」


え? それは困る。売れるほうがいいけど、売れすぎるのはどうかな? ポッキンアイスくらいにしとこうかなぁ。うーん。やっぱりこの件はショルトさんに相談だね。


「アイスクリームって高いのもあるけど保存に冷凍庫がいるから庶民に行き渡らないって聞いたことあります。プリーモ商会はみんなに食べてもらいたいって頑張ってたけど、それで断念したみたいです。冷凍庫ないと溶けますからね。それもあって冷凍庫がある貴族にしか食べられないんです」


「すぐ食べないとダメなのか」


冷凍庫用の魔石は高い。私も買おうとしてやめた。マジックカバンあるから必要ないっていうのもあったけど。


「そうですね。でもこの扇子とかはいいと思いますよ。うちわと違ってコンパクトになるから携帯できてとても便利です」


落ち込んだ私を励ますように扇子を褒めてくれる。

そう、うちわはこの世界にもあるみたいだけど、扇子はない。コレットさんによると扇子は売れそう。

ベスさんとモリーさんの意見も聞きたかったけど、アイスクリーム食べてからうつろになちゃったからなぁ。アイスクリーム恐るべし。







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