第85話 魔法の杖




てくてくてく。てくてくてく。


「全然景色変わらないよ。この道で合ってるの?」


「まだそれほど歩いてないよ。まだまだ先は長いぞ」


タケルは呆れた表情です。杖買っててよかったよ。魔法使い用の杖だけど坂を登るのに活躍してる。


「ナナミさん大丈夫? 荷物持とうか?」


クリリは優しいね。


「クリリ、ナナミの鞄はマジックカバンだから重くない。手助けは不要だ」


タケルはケチだね。


「魔物退治したらドロップ品を落としていくって言ってたけど魔物はどうなるの?」


私は気になってたことをタケルに聞く。


「どうなるって倒されたら消えるだろ」


「え? でも魔物の肉売ってるよ。消えたら食べれないでしょ」


「食べれる魔物は基本的に弱い魔物だな。そういう魔物はドロップ品もないし、消えることもない」


「だったら普通の動物と同じじゃないの」


「魔物だから魔力が肉にもある。普通の動物にはないものだ。魔物の肉を食べてたら自分の魔力も微量だが上がってくる」


よくわからないけど、この森に出る魔物は強いってことだね。

魔物がグシャっとならないんなら私もバリア使ってもいいなぁ。ドロップ品も気になるし。


「変だな」


ノエルさんが何かつぶやいてる。


「どうかしたんですか?」


「魔物の気配がしないんだ。この辺りまで来たら沢山出るって聞いてたのに」


気配でわかるのか。さすが騎士さんです。


「そうね。全然感じられないわ」


コレットさんも首を傾げてます。


「まあ、そういう日もあるさ」


タケルが笑いながら答えてます。どうもあやしい。何か知ってるみたい。


「タケルさんがいるからじゃない? 魔物だって無駄死にしたくないと思う」


そうだよね。魔王倒したような相手と戦いたくないよね。クリリ賢い。


「はじめに来たときは何回か現れてたんだけど、この間温泉入りに来たときは全然だった。まさかコレットさんたちが魔物目当てだったとはさっきまで知らなかったんだ。知ってたら昨日話したんだけど、すまない」


タケルが謝ってます。どうやら本当に魔物は出てこないみたい。


「でも絶対出ないとは断言できないから警戒はしててくれ」


「「「はい」」」


元気の良い返事を3人はタケルに返した。

温泉まではまだまだ歩くようです。この魔法の杖は本当に登山用の杖になっちゃったかな。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る