第67話 冬はおでん1

67 冬はおでん 1



1日10個限定の100円コンビニから少しづつ商品を購入してきてやっとこの日が来ました。


「なんだか朝から楽しそうですね。何か良いことあったんですか?」


コレットさんが聞いてきます。


「はい。やっとおでんが作れるんです」


「おでんですか?」


「私の国の料理なんです。こういう寒い日に食べるんですよ」


「美味しそうですね」


「お昼には間に合わないから持って帰りますか?」


「いいんですか? 」


「いいですよ。少量作るのも沢山作るのも変わらないですからね」


コレットさんがとても嬉しそうです。コレットさんが勤めだして10日になるのですが、毎日カレーとごはん買って帰るんです。この事がとても気になって昨日聞いてみたんです。


「毎日カレー買って帰ってるようですが、毎日カレーなんですか?」


「ええ。こんなに簡単で美味しい料理初めてです。私は結婚するまで料理したことなかったから助かってます」


いえいえ、それはまずいでしょう。毎日カレーってご主人が憐れです。一応その時、缶詰やチキンライス、五目ごはんも進めておいた。もちろんスープもごはんと一緒に出すといいよとさりげなく言うと一緒に購入してた。ーーとはいうものの騎士様なのに毎日レトルトはダメでしょう。力がつくはずがありません。そういうわけで今日のおでんは初めからアシュリー家の分も入ってたんですよ。


鶏肉はコッコウ鳥の肉を昨日買っておいたのでそれを二つの鍋に分けて入れます。100円コンビニで買った大根も入れます。この大根が美味しいんですよ。後はゆで卵にさつま揚げ。竹輪にコンニャク、ポテポテ、はんぺんといろいろ入れてると鍋いっぱいになりました。味付けはシンプルに昆布のだしの素と醤油とみりんとお酒。田舎風のおでんだね~。


「ナナミ、そ、それはなんだ?」


タケルは食事作ってると現れる。どこかにカメラでも仕掛けてるんじゃないよね。


「何っておでんだよ」


「違う!その瓶に入ったの」


「お酒だよ」


「やっぱりお酒。日本酒も百均で買えるのか?」


「これは100円コンビニで買ったんだよ。ワンカップ100円の安いお酒。料理の隠し味にいいからね」


「譲ってくれ。夢にまで見た日本酒。飲んでみたい」


いつになく真剣な顔のタケルです。そういえばタケルがこっちに召喚された時ってまだ未成年だったから日本酒飲んだことないのか。


「しょうがないなぁ。おでん食べるときにつけたげるよ。でも100円なんだから美味しいかどうかわからないよ」


一応忠告しとく。期待し過ぎるとショック大きいからね。


「今すぐ飲みたいが、おでんと一緒に飲むのもいいな」


どうやら納得したみたいです。でも台所から動くつもりはないようなので、おでんの方はタケルにお任せです。

店はクリリとコレットが居るので、私は本でも読んでおでんが出来るのを待つことにします。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る