第65話 ホットケーキを食べよう



今日から新しい従業員が入って来た。名前はコレット・アシュリーさん。元冒険者ということで、筋肉ムキムキの女の人を想像してたけど、普通の20代後半の女性だった。髪も栗色、ブラウンの瞳でどこにでもいそうな人です。身長も163センチくらいで、私より10センチ高いけどこの世界では普通の身長です。怖い人でなくて良かったです。

ショルトさんの話によると冒険者としての腕は一流で辞めるのは早いのですが、この街に騎士として勤めている男性と結婚した為冒険者を引退したそうです。働かなくてもいい位稼いでいるそうですが、家でじっとしてるのが嫌で、15時には家に帰れるような仕事を探していたそうです。勤めるのが遅くなったのは彼の実家に結婚の報告に帰っていた為だそうです。新婚さんなんですね。賃金は1時間1銀貨。強盗よけも兼ねてるので少し高めだそうですが、私からするとボディーガードまでしてもらってその値段は安すぎる気がします。


この店の事は噂で知ってるそうですが、来たのは初めてのようです。クリリが商品の説明をしてくれてます。


さて今日のお昼の賄いは『ホットケーキ』を作ろうと思います。ホットケーキミックスが百均にあるのは知ってたけど、メープルシロップも売ってるとは思ってなかったので見つけた時は跳び上がって喜んだ。やっぱりホットケーキにはメープルシロップだよ。バター、卵、牛乳は100円コンビニで調達した。

店を覗いてみると仲良く2人で売ってるから大丈夫だね。じゃあ、早速焼いていこう。焼いた端からアイテム鞄に入れておく。ここに入れてたら温かいままだから、本当に便利だよ。


なんとか人数分焼いたところでタケルが現れた。アシュリーさんと挨拶を交わしている。


「昼の時間になったから表の札休憩中にしておいたぞ」


タケルが私にも声をかけてきます。


「丁度出来上がったところなの。皿に入れていくから配ってね」


ホットケーキを皿に乗せて、バターを添えてメープルシロップを上からかけておきます。

タケルの目が輝いてます。沢山焼いたけど足りるか心配ですね。


「さあ、食べましょう」


コレットさんは驚いたようにホットケーキを眺めていたけど、私たちが食べ始めるとフォークで刺して口に入れた。


「美味しい。こんな美味しいものが食べられるなんて。なんて贅沢なお昼ご飯なの」


コレットさんが喜んでくれて安心です。飲み物はペットボトルのクリームソーダです。こちらの味も大丈夫だったみたいですね。


「言ったでしょ? ここの賄いは最高だって」


クリリが胸を張ってます。

タケルは黙々と食べてます。うーん、やっぱり足りるか不安です。もっと焼い方が良かったかも.......。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る