第64話 リバーシ対決




百均の五百円の商品が買えるようになったと表示された時から狙っていた商品がやっと手に入った。しばらく売り切れ中の札が出ていたのだ。百均も品切れが偶にある。カップ麺の種類もいつの間にか変わってて驚いたものだ。カレーラーメン美味しかったのに手に入らなくなってしまった。

でも私が今回狙っていた商品は食べ物ではない。

リバーシというボードゲームだ。このゲーム300円でも売ってるけど壊れやすいって聞いたことあるから、500円の商品が買えるようになるまで待っていたのだ。ふふふ、これでタケルにギャフンと言わせるつもり。最近威張ってるからね~リバーシでは負けたことにない私がギャフンと大事なとこだから何度も言うけどギャフンと言わせるのだ。


「これなんなの?」


今日は休みなのに何故かクリリが朝ごはんを食べに来た。そして朝ごはんのお礼だと言って、そのまま店に商品の補充をするのを手伝ってくれている。大方補充できた時、リバーシを百均で取り寄せたのだ。一応何個か売ってみる予定。馴染みのないゲームだから売れないかもしれないけど、売れなかったら孤児院に寄付してもいいしね。冬の間は外であまり遊べないから、楽しいと思う。


「リバーシだよ。こうやって石を黒と白で交互に挟むように打って、挟まれた石をひっくり返していくの。石は両面が黒と白で分かれてるから見やすいでしょう?で、最後に石の色が多い方が勝ちってわけ。このゲームでタケルに勝つ予定なのよ!」


「え? ナナミさんが?大丈夫なの?」


「私は負けたことがないのよ。絶対に大丈夫」


なんだかクリリの目が疑わしいです。失礼ですね。コテンパンにしてあげましょう。


「クリリも私とやってみる?」


「うん」


タケルとやる前の腕慣らしですね。ボードを広げていざ勝負です。



「...........あれ?」


「俺の勝ちだよね。黒の方が多いもん」


初心者に負けるなんて....クリリって何者?


『カラン、カラン』


タケルがドアから入ってきます。今日は2号店に商品を納品しに行ってくれてたんです。


「おっ、リバーシか?」


盤上を眺めながらタケルが嬉しそうです。タケルはゲーム好きですからね。


「勝負よ、タケル」


私が叫ぶとタケルは笑ってます。


「いや、どう見ても俺と勝負するのは100年早いね。初心者のクリリに大差で負けてるでしょ」


く、悔しい。でも今日は負けません。


「そう、いいのよ。勝負しないのならお汁粉もなしよ。お餅も入れてるんだけどクリリと2人で食べるから」


私が脅すとタケルは即座に椅子に座ってリバーシを始める準備を始めました。チョロいです。


「まさかとは思うが、俺が勝ったからってお汁粉なしとか言うなよ」


「失礼ね。そんな卑怯な事はしないわ」


「俺が勝ったら、餅2個だからな」


なんだか勇者なのにセコイですね。


「2杯でも2個でも勝ったらいくらでも食べていいわよ」


私が言うと目がキランと輝いてます。


「俺も勝ったからいくらでも食べれるんだね~」


クリリがヤッターっと跳び上がってます。クリリ、お前もか......。



結果はどうなったかというと2人にお汁粉を食べられた私は、お汁粉と一緒に食べようと思っていた沢庵をかじりながら、クリリvsタケルのリバーシ対決を眺めていた。今度の賞品はきな粉餅。2人とも食い意地はってるからどっちが勝つんだろう?


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る