第45話セルビアナ国ウータイ3
「どうだ。すごいだろ」
なぜかタケルが威張ってます。ドヤ顔です。
テーブルの上にはたこ焼きソース、お好みソース、焼そばソースを並べてます。
「これはすごいな。今でも研究してるけど、この味のソースは作れなかったんだ。たこ焼きもお好み焼きも売れてはいるけど、今ひとつでね」
ヨウジさんは感動して涙声になってます。どうやらやっと声が出せるようになったみたいです。奥さんも横で嬉しそうに笑ってます。
「よし、アンジェ、今からたこ焼きとお好み焼きを作るぞ」
突然ヨウジさんは立ち上がって厨房の方に入って行きました。アンジェというのは奥さんの名前でしょう。私たちの事は眼中にないようですね。
「すみません。夢中になると周りが見えなくなるんです」
アンジェさんが申し訳なさそうに謝ってます。
「気にしないでください。久しぶりに美味しいたこ焼きが食べれるんです。ここで待たせていただきます」
タケルは食べる気満々です。
「タコっていないんでしょ?どれでも"たこ焼き"で売ってるんですか?」
「いえ、ウータイ焼きで売ってます」
この街の名前をとって売ってるんだ。明石焼きみたいなものかな。
「ソースがないから、明石焼みたいにダシで食べてたんだよ。これも上手いんだけど、やっぱりこの甘いソースで食べたいなって思ってたんだ。ナナミのおかげで食べられるよ」
ん?てことはやっぱりアレもいるよね。お好み焼きもありそうだしね。
私はテーブルの上にマヨネーズと青のりとかつお節も追加でおきます。そして割り箸もです。フォークでも食べられるけど箸で食べたいですからね。
しばらくするとヨウジさんはたこ焼きをテーブルの上に置きました。それにたこ焼きソースをかけます。いい匂いです。
「アンジェ食べてみてくれ」
やっぱりアンジェさんからですね。アンジェさんが箸の使い方が分からないと言うとヨウジさんが割り箸を割ってたこ焼きをひとつ掴むと彼女の口に入れてあげました。なんか暑くなってきました。当てられっぱなしです。
「美味しい」
アンジェさんはむぎゅむぎゅと食べながらも何度も美味しいと言ってくれます。
やっとお許しが出たので私もタケルも食べます。ヨウジさんも口に入れてます。
「本当にタコみたいな食感ですね。たこ焼きと同じ味です」
「久しぶりの味だよ。うん、ウータイ焼きもいいけどたこ焼きソースのかかったたこ焼きも絶品だな。絶対この街の名物になるぞ」
「夢にまで見たたこ焼きです。本当に有難うございます。ーーところでこの商品は買えるのですか?」
ヨウジさんもアンジェさんも真剣な目で聞いてきます。
「はい。いつでも言ってください。大量に買ってくれるなら安くしますよ」
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