第34話 勇者さまがまだいます



私は今カップ麺食べてます。このカウンターで食べるのも慣れたものです。最近は椅子を増やしたので勇様にも椅子に座って食べてもらってます。試食したがる人がいるので立って食べてもらうのもアレなんで用意したんですよ。でも大抵すぐ帰ってくれるんですけどね。ーーこの勇者さま全然帰る様子がないんです。カレー2人前食べて帰るのかと思っていたら今度はカップ麺です。

私もお腹が空いてたので一緒に食べることにしました。


「なあ、俺百均ってあんまり行ったことないんだけど、百均ってアレ置いてないのか?」


「アレじゃ分かりません。っていうか百均って文房具も安いのに行ったことあんまりないの? 安くていいもの多いのに」


私なんてアパートの近くにあったから毎日のように通ってたのに。そのせいで女神様にも必要不可欠なものと思われたようだけど.......。


「うーん。文房具は東急ハンズで買ってる」


ふーん。まあ、東急ハンズの方がものがいいもんね。うん、百均バカにしてるとかは思わないよ。


「わー。なんでカップ麺下げるんだよ。別に百均馬鹿にしてないから、ただ利用してなかっただけだから」


慌ててカップ麺を取り返して食べてます。


「で、あれって何のこと?」


「味噌とか醤油とかだよ。俺、旅しながら探してるんだけど、なかなか同じものがないんだ。俺の前にいた勇者や地球から連れてこられた人が、あちこち散らばってるから、どこかにないかと思ったんだけど米だって似たようなもので同じものはなかったよ。みんな着の身着のまま連れてこられてるから作れなかったんだと思う。味噌にしても醤油にしても大豆から作ってるのは知ってるけど、どうやって作るのか知ってるやつなんていないだろう?」


「そうだね。本とかだと異世界行って、イロイロ発明したりするけど現実は難しいよね。でも大豆があるんだったら作り方知ってるから味噌は作れるけど」


「え?


「うちの母、味噌は手作りだったんだよね。だから作り方なら知ってるよ。でもそんな面倒なことしなくても、百均には味噌あるよ。それにインスタントの味噌汁もあるからすぐ食べれるよ。豆腐はないけどね。ちなみに醤油もあるよ」


私はステータスからいろいろ注文してテーブルに並べた。


・インスタント味噌汁

・味噌(白味噌)

・醤油

・ソース

・お好みソース

・炊き込みご飯


私が並べる品物にタケルは目を見開いて眺めてます。探し求めてたものが手に入って嬉しいのでしょう。


「これは店に並べないの?」


「少しづつ売るつもりなの。目立ちたくないから「もう充分目立ってるよ。俺がこの街に来たのもこの国の王都でマヨネーズ見たからだよ。売って欲しかったけど全力で嫌がられたから、売ってる場所聞いて、訪ねてきたんだ。まさかマヨネーズ以外にこんな収穫があるなんて来てよかったよ」


大袈裟な人だなぁ。たまたま、マヨネーズ持ってる人に出会っただけだと思うけどね。


「だいたい棚開きすぎだよ。もっと置いた方がいいよ」


確かに空いてる棚は多い。そう言われるとガラガラしてるような気がしてくる。


それからはタケルに言われるままに棚に商品を並べていった。味噌汁のインスタントの横にカップスープを並べると


「そんなものまで百均には置いてるのか」


と横でつぶやく。


ご飯の横に炊き込みごはん、赤飯、チキンライスを並べれば、


「オムライスが食べられる」


と喜んでいる。手伝うでもなく横にいるだけ。はっきりいって邪魔だよね。私の視線に気づいたのか、


「また来るよ」


と言って大量に商品を購入して帰っていった。

私はといえば遅くまで棚を埋めていく作業に追われた。疲れる1日だった。












  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る