第9話夕飯をたべよう




まさかこんなに早く店を持てるとは思ってなっかた。おまけに住むところまで。これも女神さまの加護のおかげなのかな。

臨時収入も入ったし、これで当分は家賃の心配もしないで済む。良かった、良かった。


『ぐー』


なんの音かと思えば自分のお腹の音だった。そういえば朝食べたきりだ。早く宿に帰って夕飯を食べよう。


「すみません」


宿への道を急いでいると声をかけられた。振り返ると私と同じぐらいの背の少年が立っていた。フード付きのマントを着ているせいか、顔がはっきり見えない。


「何か」


「オールド眼鏡売ってくれませんか?」


「売り切れたんですよ。今度店を出すのでその時に買ってください」


商業ギルドにいたのならその時買えばよかったのに。


「試験があるんで、急ぐんです。売ってください。お願いします」


試験?試験とオールド眼鏡の関係がよくわからない。でも今はそれどころじゃないんです。ごめんなさい。


「話は夕飯を食べながらでもいいですか?そこのうさぎ亭で食べるんです」




くまの寝床まで鍵を取りに行った。マントの少年は黙って立っている。よっぽどオールド眼鏡欲しいんだな。おじいさんにでもあげるのか。でも金貨1枚もするのに買えるんだろうか。


「夕飯は肉か魚を選べます。どちらにしますか?」


「海から遠いのに魚あるんですか?」


「干し魚を焼いたものになります」


「肉でお願いします」


「俺も肉で」


どうやら彼も食べるみたいです。食事が来る間に話すことにした。


「倉田ナナミっていいます。ところで試験で急ぐってどういうことですか?」


「俺の名前はクリス・ガーディナー。ヴィジャイナ学院の3年です。明日学校で試験があるんです。年寄りみたいなこの眼のおかげで読むのに時間がかかるからいつも途中までしか出来なくて、順位がいつも悪いんです。ガーディナ家は代々宰相を出す家柄。このままでは家から放逐されても仕方ない。それで冒険者になるか、店でも開くかとギルドに偵察に来てたんです」


驚きました。どうやら貴族のお坊ちゃんみたいです。


「そこであなたの売るオールド眼鏡を見て、涙が出るほど嬉しかった。これで家を継ぐことができるかもしれない。あそこで買えばよかったんですが、お金をあまり持ってきたいなかったので取りに帰っている間に売り切れてしまったようです。いつもなら白金貨1枚なら持ち歩いているんですが、あまり大きいお金は、店の方がお釣りに困ると注告されたため持ち合わせがなかったんです。白金貨3枚持ってきました。どうか3個売ってください」


「白金貨?金貨1枚ですよ」


「え?金貨1枚って本当に?」


どうやらクリスさんは金貨1枚と聞いたが間違いだろうと勘違いしたらしい。お坊ちゃんはこれだから困る。


「クリスさん。年寄りがなる近くが見えない症状とあなたの眼は違うと思います。この眼鏡で見えるかもしれませんが、あまりこの眼鏡を長時間使うのはおすすめできません。頭痛とか肩こりとか副作用が出るからです。それでも買いますか?」


多分クリスさんは遠視だと思う。この年齢で老眼はないでしょうからね。


「頭痛とか肩こりなら治癒魔法で治せるから大丈夫です。それに長時間使うことも控えると約束する」


クリスさんの真摯な眼差しを見て、私はステータスから百均を呼ぶと老眼鏡3個と虫眼鏡を買った。


「はい。どうぞ。この虫眼鏡はおまけです」


「虫眼鏡?」


「文字が大きく見えます。使ってみてください」


「ありがとう。助かったよ」


クリスさんは白金貨1枚を出してきた。まあお釣りあるからいいけど。金貨7枚を渡した。


「本当に金貨3枚でいいんだ。眼鏡って高いのに」


いえいえ、原価100円ですから、これ以上高く売れませんよ。お肉の料理は味が物足りなかったが美味しかった。

途中でクリスさんのフードが取れた時うさぎ亭にざわめきが広がったがなぜだろう?確かに彼の金髪と青い瞳には驚いたけどね。でもそれは私が日本人だからです。私の周りには偽物の金髪しかいなかったです。本物は輝きが違います。

彼とは目の保養のためにもまた会いたいものです。












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