第8話オールド眼鏡ーショルトside



びっくりした。この俺が久しぶりに驚いた。

最近はギルドカード目当ての新人の客をあしらうために所長の俺が受付についている。ほとんどの常連はそのことを知ってるので俺の受付に来ることはない。

またかと思った。15歳くらいの娘さんが声をかけてきたときそう思った。市で売りたいと言うのはギルドカード作るための言い訳だと思った。それでギルドカードを作る手続きをしないで、商品を出してもらったのだ。ろくなものがなければお帰りいただこうと思っていた。身分証代わりにするのなら冒険者ギルドでカードを作って貰えばいい。そんな気でいた自分をあざ笑うかのように彼女は次々と変わったものを鞄から出してきたのだ。

まず塩が入ってる入れ物に驚いた。こんな入れ物は見たことがない。

そうマヨネーズとかいうものも変わった入れ物に入っていた。この少女が出すものは非日常的なものばかりだった。入れ物はともかく味が本物かどうかだと思い、ステータスを使いアイテムボックスから調理用の肉を出した。ステータスを使えるのはこのギルドでは三人くらいだ。魔力がかなり必要になるため、持てる人が少ないのだ。

はじめに肉に塩コショウをかけてみれば、本物の胡椒と塩の味だった。負けた。何故かそう思った。そしてマヨネーズこれは初めての味だった。これはやばい。クセになる。いったいこの少女は何者なんだ。おまけに彼女はステータスを使えたのだ。それも俺よりもたくさんのものが入れられるアイテムボックス付きだ。

だが一番の驚きはその後に出してきたオールド眼鏡だ。最近どうも近くの文字が見えにくくて困っていた。年をとると見えにくくなると聞いていたが、これほど見えにくくなるとは思っていなかった。商業ギルドは書類作成が多い仕事だ。このままでは引退も考えなくてはいけなくなる。


「眼鏡かけないんですか?」


変なことを聞くと思った。眼鏡は遠くが見えない人がかけるものだ。それにとても高価なものだ。


「これはオールド眼鏡です。近くが見えるようになりますよ」


カバンから眼鏡を出してきた。それもフレームが何で作られてるのかとても柔軟にできている。眼鏡をかけると顔が痛くなると聞いたことがあるがこれなら大丈夫そうだ。言われるままに眼鏡をかけてみた。


「見える。とてもよく見える」


感動した。これほど見えるようになるとは。欲しい、この時は所長ではなかった。一人の客として切実に欲しいと思った。だが値段が気になる。これほどのものだ。しかもオールド眼鏡はどこにもない新しいものだ。天井知らずの値段になるだろう。

だが彼女は金貨1枚で良いと言う。世間知らずだと思いながらも、値段が上がったらいけないので3個手に入れた。

職権乱用と言われるかもしれないが、オールド眼鏡の前ではそんなものは糞食らえだ。このオールド眼鏡は革命をおこすだろう。










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