俺は厨二病でイジメられっ子

俺は授業は真面目に聞くことが多い。


当然だ、追試はダルいから。


進学校にも関わらず、追試を2度も受けた馬鹿はそうそう居ないだろう。


ある意味で自慢できよう。


点数も多くとった。なら、その時は理解が出来ていると証明した事になる。


そして、2日後には綺麗さっぱり忘れ去るのだ。


俺は水溶き片栗粉のようなものだと思う。

いや、スライムとか?ともかく、一度固めて形を作れる。しかし、数日後には崩れる。うむ、いつも通りだ。


授業が終わった。非常にダルい。


しかし、つまらないな。もっと刺激的な、例えば自分の父親に反逆をして母の死の真相を探ったり、穴を掘って天を突いたりしたい……


ふと、厨二病でもここまで来てしまうとヤバいな、と自覚しそうな1歩手前で背中に痛みと振動、そしてバシィーッという、効果音がした。


ゲームか?しかも、ギャルゲーという、俺にとって天敵のゲームの中なのか!?

……血迷いすぎである。


俺の友達にこんな事してくる奴は居ないはずだ、と考えてる途中に嫌いな声が聞こえた。


「何してんの?」


聞こえた瞬間に、最悪だ……。と考える事を放棄してしまいたかった。

まだ、1時間目が済んだ直後なのに……。


厨二病は目をつけられやすい。

言動、態度、見た目、この全てが色々と俗に言う不良とかの癇に障る事の多い病である。


入学早々に目をつけられて色々大変だった。


物や金はとられ、貰ったのは暴力と暴言、その他の嫌がらせ等々……。

周りからも同情、侮蔑的な視線も頂いた。

いつも、決まって俺に来るのはリーダー格。

周りの取り巻きは眺め、嘲笑い、便乗し、悪ノリする。最初は必ずリーダーが難癖つけてきやがるのだ。


よくある「イジメ」という類のものと思うだろう。


俺の場合はは「イジメ」と言うより、気に食わないから、出てる杭だから、潰す。


この様に考えていると思う。


つまり、作業的かつ効率的に精神面を潰しにくる。物理的にくる馬鹿でもない。


更に巧妙な事に教師が注意して見てないタイミングで陰湿的に来るのだから困る。


教師がいれば、近寄って声をかけ、言われたら困る事をトコトン、ベラベラと仲が良さそうに話しかけ、お前の弱みをこんなに知っているぞ。と言わんばかりに伝えてさらに粘っこく、ガムのようにくっついてくる。


極めて面倒だし、キツいし、腹が立つ。


だが、俺は必ず物に当たる。主に壁に。

理由は壊れないから。

何故、俺だけ……。等と嘆きはしない。

自分でも、自分の態度は酷いものだ、と自虐し自嘲する事が多々あるから。


しかし、物に当たるだけでは足りず、世の中に殺伐とした物が欲しい、と更に思い、アニメやマンガに浸かるのだ。


これは悪循環。理解はしている。

しかし、現実逃避していないとやってられない。


そんな中、俺は珍しく妙な事を考えた。


こんな人は恵まれ、紛争地域の人達は貧しい限りだ。

こんな運によって巫山戯ふざけた目に合ってる人達が可哀想だ、と。


本当に妙な事を考えたものだ。そんな地域の人だなんて可哀想だ、と考えたって、嘆いたって変わりゃしない。

世の中は行動を起こして結果がでる。

その行動にも、考えは必要だ。だが、努力、勇気、一貫性が必要なのだ。


その1番貧乏な人だけを救い、周りの2番目やそれ以降の貧乏な人には何もしてやらない。


そんな自己満足では、褒め称えられても後に叩かれる。


しかし、目の前で倒れた人を救わない。これもまた、叩かれるのだ。


線引きがさっぱり分からない。


この間も弱みをベラベラと楽しそうに話してるソイツがチラリとこちらを見やる。

机を少し蹴って


「また、後でな。」


そう告げた。

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