第5話 妄想 きのこ日記

 3月∵日 『一触即ハツタケ』

 先日、きのこ尽くし料理を食べに行ったのだが、意外に栄養価が高かったらしく、口内炎が出来る。

 でも実は、それは口内炎じゃなくて、なにかの種類のきのこかも……。

 それで、そいつがどんどん大きくなっていって、いっぱい生えてきて、気付くとしゃべり始めていて、なに言ってるのかよくわかんないけど、どうやらNHK受信料を払え、とか言っているらしい。



 3月∫日 『一心同タイショウイグチ』

 大事に隠しておいたものを、ぐりとぐらに持っていかれる●3点



 3月≠日 『悪事千里をハルシメジ』

 ぼうずめくりをする。また蝉丸にやられる。こいつはこともあろうに、つるつるのてらてらのなめこ頭を、ズキンで隠している! その極悪非道ふたつふらちな悪行三昧ぶりが、より一層の恐怖をそそる。



 3月∂日 『創意工フウセンタケ』

 きのこ狩りをしながら鼻歌を歌うのも、たいへんよろしいかと思いますが、坂本九の『上を向いて歩こう』の歌詞の『上を』の部分を『下を』に変えてしまうのは、ちょっとどうかな。



 3月∋日 『東奔西ソウメンタケ』

 雲をつかむことは出来なさそうだが、「呑む」ことは出来るようだ。

 中国料理に『ワンタン』というものがある。即物的な名前が目立つ中華料理の中、とても詩的な漢字が当てられている食べ物で、『雲吞』と書く。

 ちなみに『きくらげ』は『木耳』と書くが、『雲耳』『耳子』の字を当てることもあるという。『くものみみ』なんて、かわいいですね。



 3月¬日 『とらぬ狸のカワラタケ』

 ファミレスのメニューにあると、とっても嬉しいけど、ぜっったいに注文しないな、と思うもの。「ストロベリーしめじパフェ」

 ~知っトク情報~

 とうふ小僧のおとうふ食うと、体中にカビが生えちゃうよ! 食べちゃダメ!

 (意外に気持ちいいかもね)



 3月∃日 『命短し恋せよオニイグチ』

 ぼんやりとした意識の中、出自不明の言語が脳裏をかすめる『国民粘菌』。



 3月∇日 『玉石混コウジタケ』

 英和辞典で『mushroom』をひいたら、『museum』と『music』の間に挟まれてた。



 3月⊆日 『不言実コウタケ』

 40年ぐらい前にゲットした『仮面ライダーカード』を、いまだに所持している。確かきのこ怪人のカードもあったなぁと思い、見返してみると、ゲルショッカーの怪人『ナメクジキノコ』だった。カードナンバーは465番。

 ちなみにゲルショッカーの大幹部ブラック将軍は、二つの生物のさせた怪人を作る天才だ。でも、ナメクジの強力な部分って、一体……? 砂糖を掛けると巨大化するとかか?

 ~知っトク情報~

 ショッカーのきのこ怪人は『キノコモルグ』、バロム1のきのこ怪人は『キノコゲルゲ』。

 あ、ショッカーとゲルショッカーは、別の団体だよ! 良い子のみんななら知っているよね! マネしちゃだめだよ!



 3月∠日 『濡れ手でアワビタケ』

 鼻をかむときは、片方づつ。両方いっぺんにかむと、脳ミソが飛び出ちゃいますよ。



 3月∽日 『猿も木からオチバタケ』

 朦朧とする意識の中、深層心理より浮かび上がる言葉『社会胞子』。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

創作メモ 言枝謙樹 @koto

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ