【11】死体をはげます


歌壇賞ぽとりと落ちてかからない箸と棒とで持ち上げろ寿司



泡ぶくがはじけるように鳥が鳴く 十段階の一のかなしみ



得をしたような音させバーコード読み取り機器がオレをあやつる



笑ってるような顔した自動車にいきなりビシャッとされたビシャッと



4番のカードをお持ちのお客様二足歩行でお越

し下さい



残さずにひげを剃るため上げられたあごの形がとても頑固だ



やんでから名残りのように垂れている雨のしずくが明るさになる



学校のチャイムが鳴った。そのことでやめた遊びの面白かろう



子供とか若い保護者が行き交ってオレは腋毛を腋で擦るのだ



ぐいぐいと顔を押しつけもうこんな自分は嫌だと言った畳だ



眠るため消した電気だ。悲しみを思い返して泣くためじゃない



サスペンスドラマの死体に(動くなよ)(うまくやれよ)と励ます心



怪獣がいたら折りたくなりそうな鉄塔きょうも折られていない



散歩道の中ほどに来て鉄塔の逆光──これに戒められる



空色のジャージを着てる悪いやつ紺のジャージを着た悪いやつ



陰毛がへそまで広がるようにして将来の見通しが暗くなる



3許す女に10を成し遂げる男の自己中心をうらやむ



水道の蛇口は俺の顔なんざハナから真面目に映す気がねえ


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