【7】ありがたい話




歴史上すべてが大事教科書をキラキラさせる君のイエロー



シューティングゲームのうまいやつが来て雨粒全てよけて帰った



剃ってない顎に剃るべきヒゲはあり撫でても撫でてもまだヒゲはあり



窓の外見てれば津田が「よしおさん青春してるね」と言い残し去る



足の裏に何かついてて歩くたびつるっつるっとしてしまいます



憂鬱な早朝であるAKBビブラートかけ歌うわが母



柔道の組み手争い近づいて副審銀の椅子持って立つ



痒いって思う間もなく手は伸びて該当箇所を掻く指がある


濁流に飲まれた渡部から聞いたタオルのラクなしぼり方とか



おもいでの虫捕り網がつかまえたアゲハのはばたきのもつやさしさ



「大嫌い!」と言ったあたりで食べ始めキスするころに終わる弁当



顆粒入り歯磨き粉を使った母が「おもしろいね」と二度つぶやいた



祈っても祈りきれない祈りありコップのふちに蝿うずくまる



ありがたい話を聞いてありがたい足どりでゆく渡り廊下ね



「音楽とは存在しない何かへの憧れである」とフォーレは言った



ビタースイートサンバ聴きつつ真夜中のアポロを口の中で切り離す



みょうじだけひらがなになるこうほしゃの様に時々優しいオレだ



後ろからおどかそうとしたおとうとの白髪の二、三に思いとどまる



宇宙一短い手紙が落ちるのを大きな川のそばで見ていた


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