【6】泣けるゴミ


小悪魔のごときフォークに削られてケーキがついに身を横たえる



地下鉄の全てのドアに貼ってあるシールの子供の挟まれた指



真っ黒でとても大きい 土産屋のハローキティがかぶる烏帽子は



『ドラえもんのび太の海底鬼岩城』読み終わるまで居る気の便座



細切れのあなたの思い出くっつけてわりかし泣けるゴミをつくった



小さな子小さな足をのせている小さな車いすはゆっくり



彫刻のトカゲを踏もうとした時にそれは命になって逃れた



身長の計測機器に寄り添えば頭にしかと手のひらが乗る



真っ青な四角い紙を鶴にすることができずに見上げてる窓



何もせず寝ていたいけど生きている意味を問う声なき声 ふいに



100kmを走る細川ふみえへとスキスキスーは繰り返されて



ボールペン薄くなりゆく 私もう元の世界に戻らなくては




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