第12話

12月29日…


Christmasクリスマスも最近の事なのに…

まるで懐かしい昔話のように語られて…

newyearニューイヤーを気にしだす…

そんな間を過ぎる期間…いわゆるhalfwaypoint (中間地点)…


その時間に、俺は夢に見た不安を抱えながら…

大平と彰美ちゃん、それに優子さんを乗せたジムニーで…

スキー場に向かっていた…


朝からはしゃぐfriendフレンド…

nightmareナイトメアにうなされて塞ぎ込む俺…


どうしようもない反比例の感情のupdownアップダウン…


沈んだ俺は上がり続ける大平に頼まれて…スキー場に向かった…


車内の大平は、初めて会う優子さんに色々話してた…

話の輪に入った彰美ちゃんは自分から話すことも、

それほどなく…大平と優子さんの聞き手に回っていたんだ…


それぞれが馴染んだ頃に…


スキー場の駐車場へ着く…


昌幸「それじゃ俺ら先にリフトの券とか、

細かい料金とか払ってくるから、

車停めてレンタルショップに来いよ」


優子「何時間くらい滑ります?夜は危ないですから…

夕方になる前までにしましょうか?」


危ないという言葉で優子さんが俺を見たような気がする…


気を遣ってくれたのだろうか…?


彰美「そうですね、優吾さんの同級生の方って、

どこで待ち合わせているんですか?」


彰美ちゃんの言葉で、昼頃に車に乗る前に来たメールを思い出す。

佳穂からのメールの内容は確か…


優吾「登ったリフトの辺りで待っているから、

準備が出来たら待っていて欲しいって…三時になったらいるって」


昌幸「俺達は佳穂さんとは初対面じゃんか?

お前が顔知ってるんだから、呼んでほしいじゃんか」


優吾「わかった。とりあえずロッカーとレンタル料金払って来いよ」


昌幸「ああ、二人は俺と優吾が奢るから、安心しな。

財布に余裕あるから、それでallright!」


優子「ありがとうございますー。でも板とかは自前のがありますし、

私は券だけでいいですよ」



彰美「私もボードがあるし、優子さんと同じでいいです。

大平さん確か板持ってないでしょ?

板のレンタル先にしてきていいですよ」


昌幸「…そうなのか、財布に優しくなったゼ」


優吾「俺も板は持ってきてる…お前なかったろ?」


昌幸「俺だけ出費多いじゃんか…」


優吾「車停めてる間にレンタルして来い…

二人は準備が出来たら、先に上がって滑ってもいいから…」


優子「えっ、でも…」


優吾「まだ時間に余裕あるから待つよりは滑って楽しんだ方が良いよ…」


事故の事がよぎったが…暗い話は持ち出せない気がした…


彰美「わかりました…優吾さん、事故は絶対起こしません、約束します」


優子さんの代わりに彰美ちゃんが答えた…


優吾「頼む…」


彰美「はい、それじゃお先に…」


そういって彰美ちゃんは笑顔で、優子さんを連れて行った。


大平は事情が理解できずに車を俺に聞いた…


昌幸「どうゆうhistoryヒストリーがあったか、

俺にteachティーチしてほしいじゃんか!」


こいつにこんな話をしてもしょうがない…

楽しんでほしいことが一番だし…


優吾「そんなことはお前にはどうでもいい事さ…

お前スキー経験は?」


大平は握りこぶしを作り、親指を立てて自信満々の顔で言い放った。


昌幸「ボーゲンmasterとインストラクターに言われたのは、

junior highschool student…中学の頃さ!

忘れてたか?俺のhomeホームは長野なんだぜ?」


優吾「そういえば、そうだったな…」


昌幸「見せてやるぜ、長野の雪坂で鍛え、仕上げた…

俺のtechnicalskiテクニカルスキー…

お前は目撃するぜ…

そして俺にRespectリスペクトのRを送る…

野沢温泉スキー場最速の男のlegendレジェンドを見てな…」


駄目だ…こいつは今、自分のworldワールドにwarpワープしてる…

遠い目をしているのが、何よりのevidence(証拠)…


優吾「そんなに豪語してるんなら聞くが…

なんで旅行の時に板持ってこなかったんだよ。

上手いなら自分の板くらい持ってくるだろ?」


大平は鼻で笑った…


昌幸「荷物が撮影機材以外にも増えただろ?

それにな、弘法筆を選ばず…

どんな板でも錬成したtechnicテクニックで…

北海道のsnowdownhillスノーダウンヒルは制覇できるのさ!」


話が長くなってるな…こいつのいつもの癖が出てきた…

とりあえず、話を切り上げよう…


優吾「わかったよ、早く板選んで来いspecialistスペシャリスト…」


昌幸「shopショップまでnavigateナビゲートしてほしいじゃんか」


駐車して、料金を払いレンタルショップまで大平と歩く…


スキー場の山は…人が多く…

家族連れやカップル…ガタイの良いスポーツ選手達で溢れかえる…


俺は大平が板を選んでいる間に佳穂に来たことのメールと、

これからリフトに上がることをメールで伝えた…


大平が板を選び、滑る準備も出来たところでリフトに乗る…


リフトからの雪景色の眺めは綺麗だった…



リフトから降りると、

佳穂と背の高いスキーウェアが俺たちの中で似合う男性が声をかける


あの人は…


?「やあ、優吾君。久しぶりだね。覚えてるかな?」


優吾「久一ひさいちさん!お久しぶりです」


昌幸「ん?どっかで見たことのある外見…」


優吾「去年のスポーツニュース忘れたのか?

メジャーにいった藤宮久一ふじみやひさいちさんだよ」


大平は驚いていた、無理もない有名人が目の前にいるんだから…


藤宮久一さん…

佳穂の兄貴で…俺の中学からの兄貴分…


雪国で野球は出来ないと世間の偏見で馬鹿にされていた時期があって…

その悔しさをバネに練習し、

当時の地区大会準決勝どまりの野球部を甲子園に連れて行った人…


その時のプレーが東京の体育大学にいる元プロの目に止まって…

俺が高校二年に進学する時に「行ってくるよ」と言葉を残し去っていった…


テレビで大学野球の大会で最優秀選手として賞を貰い、

大学で休学を取り、アメリカのプロ野球のトライアウトに合格した…


卒業後に日本の球団から声がかかる前に…

渡米しトライアウトを受け合格したことが…

日本のアクシデントだったようで話題になった…


あの時はどの新聞も一面が久一さんの写真で…

ネットのニュースにも公開されていた…


あの時の新聞は俺も持っている…

ネットで見ればいのに、思わず買ってしまった…

なんだか久一さんが久しぶりに会えたような気がしたから…


今は確か…アメリカ球団から大学卒業後に…

正式に入団手続きを取って、

だいたい一年間は向こうで活躍しているって

野球マニアの友人に聞いたことがある…


そんな事を聞いて、俺は少しだけ嬉しかった。


嬉しい俺とは別に、大平は興奮気味だ…

お前、何でこんなに有名な人と知り合いの事を

今まで黙ってたんだよ!って突きながら、楽しそうだった。


昌幸「えっ!日本に緊急来日ですか?

あっ、すいません。俺優吾の大学からの友人の大平昌幸です。

スラッガーで投手としても将来は世界レベルだと言われてる人に

生で会えるなんて感激っすよ!

あ、握手してもいいすっか!良ければ写真とかも…」


久一さんは握手しながら、照れ臭そうに笑った。


久一「はは、でもまだアメリカのメジャーリーグとはいえベンチが多いけどね。

出れるのは中継ぎとしての投手の時と、

不調のレギュラー陣の代打くらいだよ。

世界レベルと言ってもメジャーでは平凡な方さ」


佳穂「ごめんね、優吾君。

お兄ちゃん帰ってきたの実は三日前で、

お兄ちゃんが優吾君を驚かせてやろうって黙ってたの」


優吾「酷いな久一さん…驚いて言葉も出なかったよ」



久一「短い期間だけど、休暇を取ってね。

せめて今年の新年くらいは家族で過ごしたかったんだ。

帰ってきたら同窓会で君に会ったって佳穂から聞いてね…」


優吾「相変わらずですね…気分転換に滑りに来たんですか?」


佳穂が大平に挨拶をした後で代わりに言う。


佳穂「お兄ちゃん、

大学時代の後輩の人たちと近くのログハウスで泊まってるんだ」


久一「そうだ、よかったらお友達も含めて久しぶりにそこで話さないかい?

一泊二日なんだけど、ここのオーナーは昔からの知り合いだから、

僕が連絡入れれば遅くまで滑っても問題ないって言ってくれるよ。

料金は僕が払ってるから構わないよ」



昌幸「マジですか!なっ、優吾!彰美ちゃん達にも伝えようぜ」


優吾「うーん、だけどな…いきなりだし…」


俺がそう悩んでいると、

先に滑っていた優子さん達がリフトから出てきた…


彰美ちゃんは驚いていた。


彰美「久一さん!」


久一「やあ、大きくなったね、彰美ちゃん」


俺達は滑ることを目的とした場所で滑ることを忘れて坂の辺りで話していた…



久一さんがログハウスのことを教え、みんなが承諾した後に…


久一「それじゃあ下に滑って、

オーナーにも言っておくから安心して滑ってくれ。

佳穂が案内してくれるから、またログハウスで会おう」


久一さんは久しぶりの北海道だし、

今はじっくり滑りたいと言って、一人で滑って行った。


昌幸「うわっ!すげえ上手い!

やばいな、よし、久一さんが滑り終わった後に俺も続くゼ!

じゃあ、先に滑るぜ、優吾!」


佳穂と話した後に、大平はそう言って滑った。


豪語するだけあって、上手かった。

galleryギャラリーも久一さんと大平さんを見ていた…


薫よりは下手な気もしたが…

…それが少しだけ不安だったが、

転倒もなく久一さんと下で何やら話していた…


大平も集まったスキー愛好家のgalleryギャラリーの前で、

遠くからだが、おそらく何か話していた…


二人と薫の腕ほどではないスキーには平凡な俺も滑ることにした…


優吾「それじゃあ、夕方まで滑ろうか?」


優子「ええ、楽しいですよー。やっぱ北海道はスキーですよね!」


彰美「あっ!女子高の友達がいるから、ちょっとそこまで滑ってきますね」


優吾「行ってらっしゃい」


佳穂「優子さん、良かったら一緒に滑りません?」


優子「いいすっよ!優吾さんもほら、滑りましょ!」


俺は薫のスキー姿を思い出して、

その華麗な滑りをimageイメージしながら…

みんなで滑った…


結局事故もなく…雪も降らずに晴天の中で、

俺たちは昼から夕方まで滑った…


オレンジ色の銀世界で…滑り終わった時…


薫が俺達を…俺を守っているような…そんな気がしたんだ…

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