ぐっと心を掴んでくる冒頭。ウイットに富んだ台詞。テンポの良い文章で繰り広げられる物語は、繊細な心理描写も持ち合わせていて、微笑ましい気持ちになったり、時折じんわり胸にしみます。コメディ調でありながら、登場人物たちの等身大な苦悩も描き出されています。性同一性障害という難しい題材を、万人が楽しめる物語に昇華されています。もっと多くの人に知ってほしい、大好きな作品です。
難しいテーマを扱っているけれども、テンポよく読め、なにより台詞ひとつひとつのセンスがいい!家族に打ち明けられない悩みは誰にもある。コメディ調だけど、ちょっと真面目に自分にあるアイデンティティーなるものを考えちゃう作品。