第5話
先輩と僕は歩きながら話し始めた。
「私、ジャズ部を創設したのは暇だったからで、暇つぶしたのために創ったんだけど、しばらくしてから、四人の部員が入ってきて、私たち四人は楽器を買って、楽器の吹き方なんて知らないから、一から調べて吹くことができるようになったの。やっとの思いでベートーベンの「運命」をジャズ風にアレンジして演奏できる所までレベルアップしたの。そんな時に吹部から勝負をすることになってしまったの。それも文化祭の部活発表で、それでジャズ部が負けたら廃部だと決めつけてきたの。」
「瑛太、文化祭の部活発表での勝負まででいいから、仮入部の形でいいから、入ってくれる。」
「いや、でも僕は楽器すら吹いたことないし。」
「私がみっちり指導するから。ジャズ部を廃部にしたくないから、だからお願い。」
その言葉に心を打たれたみたいだった。そして、僕はこう言った。
「わかりました。文化祭まで、仮入部として、「ジャズ部」にはいりましょう。
「ありがとう、瑛太くん」
僕は山瀬先輩の笑顔にドキッとした。
「えっとまだ名前を。」
「そうでした。私は山瀬優希です。優希でいいです。」
僕はなぜ、こんなことを引き受けてしまったのか。優しいから、そんなことではないかもしれない。何か熱いことを始めたかったかもしれない。だからこんな面倒ごとを引き受けてしまったかもしれない。
そして、始まる「ジャズ」という名の青春がいま始まる。
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