蛇足

 少女に追い縋るように。白衣の褐色金髪の女性が息を切らしながら駆けてくる。肩には、外付けの認証用腕章を巻いている。それは、この移民計画。プラン・ダイダロスの幹部の証だった。

「如月千里。責任者の貴方がこんなところを彷徨かれていては困ります!せめて居場所の通知を!」

 女性は、少女を捕まえてそう言った。

「どうせ簡単に探せるじゃないですか。それに、居所が筒抜けだと思うと、気が休まらないんです……ところで、何かありましたか?」

「アマルテアの破砕準備が整いました。162地球時間EH前倒しで実行します。最終チェックと御裁下を」

「……わかりましたよ。すぐ戻りますから。あまりせっつかないでください。折角、今日はいい気分なんですから」

「……何か良いことがあったので?」

「まぁ、待ちわびたプレゼントが届いた、みたいな感じですよ」

「???」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る