恵理香 03-家族

「全然感じない?」

「気持ちいいよ」

「いつもこんなに静かなの?」

「ずっと声出すなと言われた」


隣の壁が薄かった?

それとも家族か?


「誰かに聞かれるのがやばかった?」

「そう」

「家族の誰かだな?」

「・・・・・」

「お母さん?」


母親かと聞いた時、女の顔つきが変わった。


「それで逃げ出して来た?」

「そう」

「嫌だったな。辛かったんだ」

「うん」

「高校は?」

「3年で中退」

「こっちに転入したら」

「ばれるよ」


なる程、それは言える

「いつ18になる?」

「もうなった」

「それならばれても大丈夫さ」

「なんで?」

「女は18で親の承諾が無くても結婚できる」

「ふーん、そうなんだ?」

「だから高校は卒業しろ」

「お金ないよ」



「おじさんの会社で働けばいい」

「雇ってくれるん?」

「いや、おじさんは社長じゃないけど、働ける」

「ほんとに?」

「ああ、これから面接に行こうか?」


「まだ抱いてくれてない」

そう言ってから、女はまた何で?と思った。

「おじさんに抱かれたい?」

「うん」

「よーし、一発遣ってそれから行こう」


やはり静かだったが、顔を見ると少しは感じてはいる様だった。

一発とは言ったものの、3分と持たなかった所為か一向に萎えてくれない。

風呂場で角度よくそそり起つ俺のを見ると、何故か18歳の娘にこう言われた。

「あと1回した方がいいよ」



シャワーに掛かりながら遣ってしまう俺は、獣に違いない。

携帯を出し、経緯を真理さんに伝えた。

「分かった。おめでとう。明日、同じ時間と場所で・・・」

そう答える真理の声は、もう普段どおりだった。

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