第15話
「あのジーンズに赤シャツのコートの娘」
「はい!」
真理さんの所に戻ると、すぐに次を指される。
「あの黒のコートの子」
「はい!」
またすぐに戻る。
「顔も見てくれません」
「彼方は見られる程の顔?」
「・・・いいえ」
「ほら、あのグレーのミニ」
またすぐに戻ったが、もう何人目?
「返事もしてくれません」
「そうね。ここに来る子達は、キャッチやスカウトは毎度の事だから」
それが11時から4時まで続いた。
結局、一人も立ち止まってくれもしなかった。
次の日は二人が顔を見てはくれた。
そして3日目、立ち止まり話してくれた。
そして、何故かホテルまで来てしまった。
「あんたに買って欲しいものがあるの」
高そうなバックから出したものは、何かの錠剤で薬のように見えた。
「これ飲んで遣ると嵌るよ」
説明を聞くと、それが何であるかはすぐに分かった。
「俺には必要がないな」
「だったら、あたしが飲むからその分お金出してくれる?」
2錠で4万と聞き驚いた。
「飲まないで遣ったら幾ら?」
ジロッと睨まれた。
「4万円」
「一緒じゃないか!!帰る」
「分かった、3万でいい」
「高い!!道玄坂のホテルは他の倍もするんだぞ」
「分かったわよ。2万でまけてく。ただし2時間」
「その代わり、時間内で何回でもするぞ」
3回して遣ったと喜ぶ俺の甘さに、ホテルを出てから嫌になった。
「バカじゃない。ホテルに入る前に聞きなさい」
「今度同じことをやったら、もう止めるからね」
真理さんからは、そうきつく叱られた。
次の日も収穫なしだったが、さすがに声を掛ける抵抗は無くなっていた。
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